HOME > 講座一覧 > 2級建築士TOP > 合格への道 > 試験のポイント

試験のポイント

2019年(令和元年) 2級建築士 学科試験概要

総評

一般受験者及び学院生の4科目の平均点は、計画・法規で標準的、構造でやや難しい、施工で難しいという結果となっています。全体的に昨年の試験と比べて平均点は上昇しておりますが、昨年よりもやや難しい試験であったと思われます。

一般受験者の平成28年~令和元年の4科目合計の平均点は、次のとおりです。(同時期対比)

得点(一般受験者) 合格率
(全国)
合格
基準点
計画 法規 構造 施工 合計
平成28年 15.5 15.5 14.3 15.1 60.5 42.3% 13・13・13・13・60
平成29年 16.4 14.9 14.4 15.4 61.1 36.6% 13・13・13・13・60
平成30年 15.6 14.9 16.4 16.0 62.9 37.7% 13・13・13・13・60
令和元年 16.7 17.5 15.9 15.2 65.4

※今年の集計結果は、解答番号を発表したので、一般受験者の平均点が例年より、数点上昇しています。

今年は、高い平均点となっています。昨年は、科目基準点・総合点ともに基準点の補正はなく、合格率が高い(37.7%)本試験でした。過去3年間、平均点が60点を超えていますが、基準点の補正はなく、全国の合格率は、42.3%・36.6%・37.7%でした。

合格率は、これまで28.3%~42.3%と幅広い変動がありましたが、今年は補正がなければ30%台後半から40%台前半の高い合格率と予想されます。

なお、合格基準点については、正式には、8月27日(火)合格発表を待たなければわかりません。

各科目の出題構成

試験内容は昨年とほぼ変わらない内容でした。

《計画》問題構成
建築史2、環境工学8、各論8、設備7【H30:建築史2、環境工学8、各論8、設備7】
《法規》問題構成
建築基準法20(単体規定12、集団規定等8)、建築士法2、関係法令3 【H30:建築基準法20(単体規定12、集団規定等8)、建築士法2、関係法令3】
《構造》問題構成
力学6、各部構造13、材料6 【H30:力学6、各部構造13、材料6】
《施工》問題構成
施工計画4、各部工事18、測量1、積算1、契約1 【H30:施工計画4、各部工事18、積算1、用語・機械1、契約1】

各科目の難易度

問題の内容については、近年定番化しつつある「問題文の長文化」や「計算問題」、「図問題」などの解答を導き出すのに多少手間のかかる出題が多く見られました。

ただし、「計画・法規」は、計画の解答が比較的絞りやすい内容であったため、法規に時間を十分にかけることができ、二科目とも解答しやすい試験だったと思われます。また、「構造・施工」は、全体的に新傾向問題が多く、特に細かな数値が問われたため、難易度の高い試験だったと思われます。

各問題の正答率から問題の難易度をA(易しい)、B(標準)、C(難しい)の3つのランクに分類し、各科目の難易度を平成29年と比較した結果は次の通りです。

一般生正答率データ(平成30年 ⇒ 令和元年)
ランク 問数 Aランク(70%以上) B(50%以上70%未満) C(50%未満)
計画 25 11問 ⇒ 12問 8問 ⇒ 7問 6問 ⇒ 6問
法規 25 6問 ⇒ 9問 12問 ⇒ 11問 6問 ⇒ 5問
構造 25 12問 ⇒ 5問 10問 ⇒ 15問 3問 ⇒ 5問
施工 25 11問 ⇒ 10問 9問 ⇒ 5問 5問 ⇒ 10問
合計 100 40問 ⇒ 36問 39問 ⇒ 38問 21問 ⇒ 26問

100問中、Aランクの易しい問題が減っております。Bランクの標準問題が昨年と同程度、Cランクの難しい問題が5問増加しました。全体として昨年と比べ、やや難しい試験ということがわかります。

各科目の得点状況は、

  • 計画:Aランクの比率が昨年同様であり、易しい試験でした。
  • 法規:Aランクが増加し、Bランクは若干減少、Cランクも若干増加していますが、標準的な試験でした。
  • 構造:Aランクが極端に減少しており、B・Cランクが増加しているので、やや難しい試験でした。
  • 施工:Aランクが減少しており、Cランクが極端に増加しているので、難しい試験でした。
  • 計画
  • 法規
  • 構造
  • 施工
  • 4科目合計

結果と今後の対策

今年は、計画と法規が過去問題主体であり、得点を稼ぎやすい試験でした。このような試験では、取りこぼしが致命傷となる場合があります。特にAランクは、確実に得点できるように繰り返し学習をし、過去問題対策をしっかり行うことが最も重要です。

また、構造と施工では、Bランクの標準問題を得点できるかどうかが、合否を分けることになります。Bランクの標準問題ほど『学習の量と質』の差が出やすく、暗記だけでなく、内容を正しく理解し、応用力を身につける必要があります。

各科目の出題ポイント

今年の各科目の特徴的な問題及び得点較差がつきやすい問題を科目別に整理しました。

学科Ⅰ 計画

標準的な出題であった。
  • 建築史は2問出題。No.2「西洋建築史」は、多少難易度が高く、建造年代を古い順に並べる問題でした。
  • 環境工学は8問出題されました。計算問題がなかったのが特徴的です。No.10「建築物の環境負荷」は既出にない設備用語があり、戸惑った受験生もいたかもしれません。その他の設問では、各枝に過去問題が多く見られ、惑わされずに正答枝を選びたい分野でした。
  • 計画各論は8問出題されました。No.16「計画一般(屋根形状)」は唯一の図問題でした。その他の問題は既出の解答枝が多く、正答枝を選びやすかったと思われます。
  • 建築設備は7問出題されました。No.21,22「給排水衛生設備」No.24「照明計画」No.25「環境に配慮した建築設備計画」は用語を深く理解していないと解きにくく、新出の用語も含まれ、難易度の高いものでした。
出題項目と難易度ランク

※ランク:A(易しい問題:正答率70%以上)、B(標準問題:正答率50%以上70%未満)、C(難しい問題:正答率50%未満)

NO 2019年 2018年
問題項目 難易度 問題項目 難易度
1 日本建築史 A 日本建築史 C
2 西洋建築史 B 西洋建築史 A
3 環境工学 B 環境工学融合(用語・単位) A
4 換気 A 換気 A
5 伝熱 B 表面結露 C
6 室内環境(湿り空気) B 伝熱 C
7 日照・日射 A 終日日影 C
8 色彩 C 採光・照明 B
9 A A
10 建築物の環境負荷 C 屋外気候 A
11 高齢者等に配慮した住宅 A 住宅(独立住宅含) B
12 集合住宅 A 集合住宅 A
13 商業建築(事務所ビル) B 商業建築融合 B
14 公共建築(教育施設等) A 教育施設等 A
15 公共建築(文化施設) A 文化施設 A
16 計画一般(屋根形状) A 寸法設計・面積・規模 C
17 車椅子使用者に配慮した計画 B 車椅子使用者への配慮 B
18 建築生産 A 地域計画 A
19 建築設備用語 A 建築設備用語 B
20 空気調和設備 A 空気調和設備 C
21 給排水衛生設備 C 給水設備 A
22 給排水衛生設備 C 排水設備 B
23 電気設備 B 電気設備 B
24 照明計画 C 照明 B
25 環境に配慮した建築設備計画 C 設備融合・他
(環境・省エネ・維持管理)
A
特徴的な出題

特徴のある問題、正答率較差(学院生・一般生)の付いた問題。

No.1「日本建築史」

正答率較差+10.2%。5枝のすべてが過去問題であり、難易度はAランクとなっている。枝3枝4枝5は公開模擬試験②にも出題され、正答枝5薬師寺東塔は、学院生にとって記憶に残った1問と考えられる。確実に得点できた問題となった。

No.9「音」

正答率較差+5.7%。5枝は過去問題を基本として、正答枝は過去問題がそのまま出題された。正答枝の「吸音構造」については、公開模擬試験②でも同文で正答枝となっていたので、学院生は確実に選ぶことができたと考えられる。

NO.21「給排水衛生設備」

正答率較差+9.6%。非常に難易度が高く、Cランクの問題となっている。過去問題は枝4枝5の2問のみで、残りの3つの枝は、テキスト等でよく見かける用語ではあったが、新しい内容が問われた。特に、枝3と正答枝4で迷う受験生が多く見受けられた。正答枝4の「バキュームブレーカー」はH26年に過去問題で出題されたが、今年は排水管ではなく給水管で設けるという細かいところまで問われた。それぞれの設備の構造や特徴を理解していないと、解答できない難しさがあった。

NO.23「電気設備」

正答率較差+14.4%。過去問題からの出題だが、正答枝1枝3枝5は、過去問題の説明とは異なる文章で、問題の難易度は高くなっていた。しかし、枝1の設置工事の種類、枝3の進相コンデンサは、公開模擬試験②でも出題されており、学院生は選択しやすかったと考えられる。

学科Ⅱ 法規

法改正問題が多かったが、標準的な問題であった。
  • 単体規定は、総則3問、一般構造2問、構造強度3問、防火・避難3問、基準法融合1問の出題でした。今年は、2年ぶりに「用語の定義」が出題されました。その他、受験生の苦手意識の強い計算問題が「一般構造」と「構造強度」で出題されました。特にNo.7の「構造強度(木造)」の「階数が3以上の建築物の柱の小径を求める」問題では、その計算方法に加え、法文を丁寧に読み取ることができるかどうかが求められました。その結果、戸惑った受験生が多くいたようで、正答率の低い問題となりました。又、基準法融合では、「建築設備に関する確認の要不要」を問う新規問題が出題されました。
  • 集団規定等は、道路1問、用途地域2問、容積率・建蔽率1問、容積率(計算問題)1問、高さの制限(計算問題)1問、高さ・日影規制1問、防火・準防火地域1問の出題でした。ここでは、「道路」「用途地域」「容積率・建蔽率」の問題の選択枝に、法改正に関わる問題が出題されました。
  • 関係法令は、「建築士法」の出題が2問、「関係法令融合」の出題が3問でした。今年の「バリアフリー法」の問題では、「建築物移動等円滑化基準」の詳細を問う問題が出題されました。又、「景観法」が新規問題として出題されました。
  • 法改正に関わる問題が多く出題され、過去問題の応用問題として難易度の高い計算問題が出題されましたが、解答枝の多くは過去の定番問題であったことから、標準的な難易度の試験でした。
出題項目と難易度ランク

※ランク:A(易しい問題:正答率70%以上)、B(標準問題:正答率50%以上70%未満)、C(難しい問題:正答率50%未満)

NO 2019年 2018年
問題項目 難易度 問題項目 難易度
1 用語の定義 B 面積・高さの算定 C
2 確認済証の交付 A 手続き融合 A
3 手続き融合 C 確認済証の交付 B
4 一般構造融合 B 一般構造融合 A
5 換気(計算問題) B 天井の高さ(計算問題) B
6 構造強度(木造) A 構造強度(木造-計算問題) C
7 構造強度(木造-計算問題) C 構造計算 B
8 構造強度融合 B 構造強度融合 B
9 耐火建築物等とする特殊建築物 C 防火区画等 C
10 避難施設等 A 避難施設等 B
11 内装制限 A 内装制限 B
12 道路 A 道路 A
13 用途地域 B 用途地域 C
14 用途地域 A 用途地域 B
15 容積率・建蔽率 A 建蔽率 A
16 容積率(計算問題) B 容積率(計算問題) C
17 高さの制限(計算問題) C 高さの制限(計算問題) C
18 高さ・日影規制 B 日影規制 B
19 防火地域・準防火地域内 A 防火地域・準防火地域内 A
20 基準法融合 C 基準法融合(用途変更) B
21 建築士法 B 建築士法 A
22 建築士法(事務所) B 建築士法(事務所) C
23 バリアフリー法 B 長期優良住宅法 B
24 関係法令融合 A 関係法令融合 B
25 関係法令融合 B 関係法令融合 B
特徴的な出題

特徴のある問題、正答率較差(学院生・一般生)のついた問題。

NO.1「用語の定義」

正答率較差+14.0%。正答枝5の「軒の高さ」は、新規問題であった。しかし、他の枝は、過去の定番問題や、この問題項目の該当法令(法2条、令1条、令2条)を確認すれば解答できるため、Aランクとしたい問題であった。

NO.3「手続き融合」

正答率較差+8.8%。イ、ロ、ハ、ニの中から正しいもの2つ選ぶ問題。正答率較差はあるが、解答率のばらつきがあった。解答枝1(イ・ロ)の内、イは選べたが、もう1つの正しいものの選択に、悩んだ様子が窺えた。正誤判断のポイントである、審査の対象物(H27)、申請先(H24)実施日(H25)は、過去に出題された定番問題のため、確実に正解しなければならない。

NO.13「用途地域」

正答率較差+5.1%。法改正を含む問題であった。枝4の「田園住居地域」に関する内容は、新規問題であるが、解答率は1.6%と低く、正しく正誤判断ができた様子が窺えた。

NO.15「容積率・建蔽率」

正答率較差+6.1%。法改正のあった容積率の算定用延べ面積の算定時に関わる「老人ホーム等の共用の廊下・階段部分の面積(枝3)」や「宅配ボックス(枝5)」の取り扱いがポイントの問題であった。目新しい表現が追加されたにも関わらず、正答枝5の解答率は82.4%と高かった。

NO.18「高さ・日影規制」

正答率較差+8.2%。全ての枝が過去の定番問題。中でも、解答枝2、誤解答の多かった枝3と枝4は、各用途地域に課せられた高さ制限(絶対高さ、北側高さ)と、天空率や日影規制との関わりを解していることが、正誤判断のポイントであった。

学科Ⅲ 構造

例年に比べ、やや難しい難易度であった。
  • 構造力学については、過去問題対策で十分に対応できる内容でした。ただし、No.5の「静定トラスの応力」については、軸方向力の生じないゼロメンバーを求める新傾向問題でした。その結果、正答率は低くなり本来の力を発揮できなかった人が多くいたようです。基本公式を活用しつつ、試験で冷静に解答できたかが分かれ目となりました。
  • 一般構造については、新規問題・応用問題の枝が幾つか散りばめられていたものの、正答枝の多くが過去問題であったため、過去問題の対策さえできていればほとんど解ける問題でした。
    No.13「壁式鉄筋コンクリート造」、No.14「鉄筋コンクリート構造(構造設計)」、No.18「構造計画」については正確な知識をつけることでもう少し正答率を伸ばしたいところでした 。
  • 建築材料については、おおむね過去問で対応できる内容で例年通りの難易度でした。しかし、No.22の「セメント・骨材・コンクリート」は、コンクリートの調合について計算で求める問題のため、単純な過去問の暗記のみならず、テキストを通じて確かな知識を持てていたかどうかがポイントとなり、難しい問題となりました。
出題項目と難易度ランク

※ランク:A(易しい問題:正答率70%以上)、B(標準問題:正答率50%以上70%未満)、C(難しい問題:正答率50%未満)

NO 2019年 2018年
問題項目 難易度 問題項目 難易度
1 断面の性質 A 断面の性質 A
2 応力度・許容応力度 B 応力度・許容応力度 B
3 静定梁の応力 B 静定梁の応力 A
4 静定ラーメンの応力 B 静定ラーメンの応力 C
5 静定トラスの応力 C 静定トラスの応力 A
6 座屈荷重 B 座屈荷重 A
7 地震力 A 荷重・外力 A
8 荷重・外力 B 風圧力 A
9 地盤・基礎構造 A 地盤・基礎構造 A
10 木質構造(各部構造) B 木質構造(各部構造) B
11 木質構造(接合部) B 木質構造(接合部) A
12 木質構造(構造設計) B 木質構造(耐力壁) A
13 壁式鉄筋コンクリート造 C 壁式鉄筋コンクリート造 A
14 鉄筋コンクリート構造(構造設計) C 鉄筋コンクリート構造(構造設計) B
15 鉄筋コンクリート構造(各部構造) B 鉄筋コンクリート構造(各部構造) B
16 鉄骨構造(構造設計) A 鉄骨構造(構造設計) B
17 鉄骨構造(接合部) B 鉄骨構造(接合部) B
18 構造計画 C 耐震設計・構造計画 A
19 耐震設計 B 耐震診断・耐震改修 B
20 木材 B 木材 A
21 セメント・骨材・コンクリート B セメント・骨材・コンクリート B
22 セメント・骨材・コンクリート C セメント・骨材・コンクリート B
23 金属材料 B 金属材料 C
24 材料融合 B 材料融合 A
25 材料融合 A 材料融合 A
特徴的な出題

特徴のある問題、正答率較差(学院生・一般生)のついた問題。

NO.5「静定トラスの応力」

正答率格差+9.6%。トラスについて過去問では軸方向力が圧縮力か引張力かを問う問題が多く、軸方向力の生じないゼロメンバーを求めるのは新傾向であった。テキストで「ゼロメンバーの探し方」という項目に解説をしていたため、学院生の正答率が高くなったと思われる。

NO.8「荷重・外力」

正答率較差+11.3%。正答枝が平成21年度にそのまま出ていた。問題解説集で表を用いて多雪区域内における長期と短期の積雪荷重を詳しく解説していたので、一般生に比べて学院生が正答を答えることができたと思われる。

NO.12「木質構造(構造設計)」

正答率格差+6.4%。曲げ材の横座屈についてはテキストにおいて「横座屈に対する留意点」という項目で図を用いて解説をしていたので、学院生の理解が深まり一般生よりも正答率が高くなったと思われる。

NO.13「壁式鉄筋コンクリート造」

耐力壁の内容を理解しきれていないため、正答枝3を選ぶことができずに間違っている人が多かった。壁式鉄筋コンクリート造は出題頻度が少ないため、過去問の内容をひとつひとつ理解しておきたい分野である。

NO.14「鉄筋コンクリート構造(構造設計)」

定着と付着の意味を問う問題が正答枝となっており、これまでになかった新傾向の問題のため正答率が低くなった。

NO.18「構造計画」

正答枝3と同じ内容の問題は平成13年度以来出ていなかったため、正答率が低くなった。しかし、平成27年度に火打梁について問う問題は出ており、各部材の役割を理解することで正答率を上げて、Bランクには留めておきたい内容であった。

学科Ⅳ 施工

例年と比較して、やや難しい問題であった。

昨年よりも目新しい問題が多く出題され、解答枝が新規枝である問題も多かったため、過去問題を理解できていないと答えを絞り込めなかったと思われます。全体の難易度としては、例年に比べやや難しい試験であったと思われます。

  • 「木造住宅の基礎工事」が今年で5年連続の出題となりましたが、過去の枝が繰返し出題されるという傾向から一転し、新規問題や応用問題が多く出題されました。
  • 昨年初めて出題された「押出成形セメント板工事」が、2年連続で出題されました。また、材料の保管に関する問題でも、押出成形セメント板についての内容が問われました。
  • 「請負契約」では、民間建設工事標準請負契約約款(甲)から初めて出題されました。
  • 各部工事では、「コンクリート工事」、「鉄骨工事」、「木工事」がそれぞれ2問、融合問題では「左官工事タイル工事」、「建具・ガラス工事、内装工事」がそれぞれ1問、また、「押出成形セメント板工事」は「コンクリートブロック工事」との融合問題として出題されました。
出題項目と難易度ランク

※ランク:A(易しい問題:正答率70%以上)、B(標準問題:正答率50%以上70%未満)、C(難しい問題:正答率50%未満)

NO 2019年 2018年
問題項目 難易度 問題項目 難易度
1 ネットワーク工程表 A 施工計画 A
2 現場管理(安全衛生管理) A 渉外諸手続き A
3 材料管理(品質管理) B 現場管理(作業主任者の選任) C
4 現場管理(廃棄物) A 現場管理(廃棄物) A
5 仮設工事 B 仮設工事 B
6 木造住宅の基礎工事 C 木造住宅の基礎工事 C
7 土工事・基礎地業工事 C 杭工事 B
8 コンクリート工事 C コンクリート工事 B
9 コンクリート工事 C コンクリート工事 C
10 型枠工事 A 型枠工事 B
11 鉄筋工事 B 鉄筋工事 A
12 鉄骨工事 A 鉄骨工事 A
13 鉄骨工事 B 鉄骨工事 A
14 コンクリートブロック・押出成形セメント板工事 A ALC・押出成形セメント板工事 B
15 木工事 B 木工事 B
16 木工事 A 木工事 A
17 防水工事・屋根工事 A 防水工事 B
18 左官・タイル・石工事 C 左官・タイル工事 A
19 塗装工事 C 塗装工事 B
20 建具・ガラス・内装工事 A 建具・ガラス・内装工事 A
21 設備工事 A 設備工事 B
22 改修工事 C 改修工事 C
23 工法 C 測量(図・計算問題) A
24 積算 C 積算 A
25 請負契約 C 請負契約 C
特徴的な出題

特徴のある問題、正答率較差のついた問題。

NO.6「木造住宅の基礎工事」

解答枝(枝1)「布基礎の底盤」が新規枝であり、その他にも新規枝(枝3)「床下防湿措置のコンクリート」や、過去問題の応用で(枝4)「べた基礎の立上り高さ」、(枝5)「径12mmのアンカーボルトの埋込み長さ」が出題された。解答が難しい問題だったと思われる。

NO.7「土工事・地業工事」

押出成形セメント板工事は初めての出題。正答率較差は10.2%。押出成形セメント板工事の新規枝(枝4・5)を含む内容だが、解答枝3(ALCパネルの目地幅)は、H26年に出題された問題。

NO.9「コンクリート工事」

学院生、一般生共に誤答の多かった問題。類似枝(枝4)「構造体コンクリートの圧縮強度試験推定用の供試体採取方法」は、H30年に同じ文面で「調合管理強度の管理試験用の供試体採取方法」として誤りの枝で出題されており、それと混同して誤答してしまった受験生が多かったと思われる。また、解答枝(枝5)は新規枝で、数値を問われる問題でもあったため、正答率は低かった。

NO.18「左官・タイル・石工事」

正答率較差は13.5%。施工では、一般生と最も較差のついた問題であった。5枝すべて近年出題されている内容で、解答枝(枝4)はH22年・H30年に正しい枝として出題されている類似問題。タイルの接着剤張りにおいて下地となるモルタル面は、水湿しを行ったり吸水調整材を塗布したりせず、十分に乾燥させる必要がある。

NO.23「工法」

解答枝(枝3)の「ノンスカラップ工法」は新規枝であり、1級建築士本試験でも過去1度しか出題されたことがない難易度の高い枝であった。そのため、他の枝から解答を絞り込むことが重要な問題だったと言える。応用枝(枝2、枝5)は「プレボーリング根固め工法」や「ヴィブラート工法」等の過去に使用されていなかった表現が用いられたため、判断に迷う内容であったと思われる。

NO.25「請負契約」

民間建設工事標準請負契約約款 (甲)からの出題。同約款(乙)からの出題は過去にもあったが、(甲)は初めてであり、全て新規枝である。解答枝(枝1)は、受注者が図面等の表示が明確でないことを発見したときの処置についての問題。このとき、受注者は直ちに書面をもって監理者に通知する。発注者ではない。

今後の学科試験対策

出題内容について、「計画・法規」は、基本的な問題が多く、各分野の本質を問われた問題や実務的な問題が出題されました。「構造・施工」は、融合問題や数値を問われた問題が多く、資格保持者となるための幅広い知識が要求されました。

近年の出題傾向である、省エネ、構造強度、職業倫理、バリアフリー、建築設備などの社会的に重要度が高い内容や、設計・工事監理に関する専門的(実務的)な内容をテーマにした問題が、今後も多く出題されることが予想されます。また、今年6月に大改正された建築基準法が施行されました。法改正に関わる問題は、複数年にわたって必ず出題され、受験生が最新の法を意識しているかが問われます。

法改正に関わる問題は、複数年にわたって必ず出題され、受験生が最新の法を意識しているかが問われます。
したがって、その対策が今まで以上に必要となります。

以上のことから、今後の対策として、過去問題の暗記だけに頼るのではなく、次のような対策が必要となります。

  1. 過去の出題内容を(問題文の暗記でなく)正しく理解すること。
  2. その知識を少し掘り下げ、効率よく知識の幅を広げること。
  3. 多くの問題を解いて、応用力・解答スピードを身につけること。
  4. 時事的な問題・法改正の情報に耳を傾けること。

資格保持者に求められる資質を問う内容が、今後も出題のテーマとなるので「暗記から理解」の学習が必要になると予想されます。
2級建築士学科試験は、決して満点が必要な試験ではありません。確実に得点できる問題を1つでも多く増やし、その積み重ねで各科目の基準点だけでなく、総合点を合格基準点まで持っていくことが重要となります。


日建学院コールセンター(フリーコール)

0120243229受付時間 10:00~17:00(土日・祝日・年末年始を除く)