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JR東京駅の丸の内口を出た正面に、三菱地所が建設していた新しい「丸の内ビルディング」が竣工し9月6日オープンした。旧丸ビルの建替え発表から7年、解体工事着工からは5年という歳月を経ての完成である。地下4階地上37階建ての建物は、140店舗の商業ゾーン、約50社によるオフィスゾーンのほか、約400平方メートルのホールと会議センターで構成される大規模複合施設。また、東大、一橋大、ハーバード・ビジネス・スクールなどがオフィスを設置しており、産学連携によるビジネスモデルの開発支援などにも乗りだす。 旧丸ビルは、1923年(大正12)2月にアメリカのフラー社が構造設計と施工を担当して完成した。世界の最新技術が導入された地下1階地上8階建てのビルは、当時としてはけた違いの規模をほこっており、日本における近代的オフィスビルの到来をつげる建物であった。しかし、この先進的な機械力や工法を用いたアメリカの最新技術を大いに悩ませたのは、日本の地震だった。 旧丸ビルはまず、外装工事がほぼ完了した22年の4月、浦賀沖地震による震災で被害を受け、竣工を前に補修・補強工事を余儀なくされる。さらに、完成の半年後に起こった関東大震災で大被害を被ってしまうのである。内外の壁には亀裂が生じ、その改修工事には3年もかかっている。その後も数回におよぶ改修・補強工事を行ってきたが、最後に解体を決定づけたのも地震であった。三菱地所は95年11月、阪神・淡路大震災の後を受けて行った耐震診断の結果、旧丸ビルが現在の耐震基準を満たしていないことが判明し、建替えを決定した。 新丸ビルの低層部は、旧丸ビルの外観デザインをほぼそのまま踏襲している。低層部の軒高は、旧丸ビルと同じ31メートル。また、旧丸ビルのシンボルであった三連アーチもオフィスエントランス内部に再現した。一方、内部は、7層吹抜けのアトリウム「marucube」を中心に商業ゾーンが構成され、丸の内のメーンストリートである仲通りとの一体感を演出している。 新丸ビルは、三菱地所が進めている「丸の内再構築」の第1弾。今後も、日本工業倶楽部会館・三菱信託銀行本店ビル共同開発計画などが、来年から07年にかけて順次竣工していく予定である。 |
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今月の主なニュース
技能者育成と教育訓練で3研究会がスタート/厚労省・国交省 |
建設業における技能労働者の育成と教育訓練への取組みが、厚生労働省と国土交通省でスタートした。厚労省はこのほど、「建設技能労働者の育成のあり方に関する研究会」(座長・冨田安信大阪府立大学教授)を設置し、初会合を開いた。一方、国交省や建設産業団体などで構成する建設産業人材確保・育成推進協議会(人材協)に「教育訓練施設の在り方に関する研究会」と「建設技能労働者のイメージアップ方策に関する研究会」を設置し、それぞれ初会合を開いている。これら三つの研究会はそれぞれ、5、6回程度の会議開催を経て、本年度末には検討結果を取りまとめる予定だ。
専門工事業などへ実態調査
建設産業の将来を担う優れた技能労働者を育成していくことの必要性は認識されているものの、建設市場規模の縮小や厳しくなる経営環境においては、各企業は人材育成費を削減しなければならないのが現状だ。特に建設業は、その大部分を中小零細企業が占めており、技能労働者の高齢化、若年入職者の減少などの問題とあわせて、建設技能者の教育訓練への対応はさらに困難になっている。
このような状況において、ほぼ同時期に厚労省と国交省で三つの研究会がスタートした。それぞれ各研究会のテーマごとに実態調査を行い、今後の具体的方策を検討するものだ。
厚生労働省は、建設労働者の育成の現状把握と課題整理を行い、今後の対策を検討するため「建設技能労働者の育成のあり方に関する研究会」を設置した。主な検討内容は、◇建設業における人材育成の現状と課題◇建設技能労働者の後継者育成に関するニーズの把握◇建設技能労働者の養成のあり方に関する今後の対応策の必要性――など。厚労省は検討に当たり、まずその実態を把握するため、建設技能労働者を抱える専門工事業などを対象にアンケート調査を行い、技能労働者の年齢構成などを職種ごとに調べる。また、各企業の教育訓練内容や、建設雇用改善助成金、キャリア形成助成金などの教育訓練に関連した支援策の活用状況と改善要望を聞く。研究会は、学識経験者、雇用主側、労働者側の計9人で構成している。
教育施設とイメージアップ
国交省や業界団体などで構成する人材協は、「教育訓練施設の在り方」と「建設技能労働者のイメージアップ方策」という具体的なテーマで実態把握と調査に乗り出す。
教育訓練の在り方では、◇民間企業における教育訓練の実態把握◇教育訓練施設の実態把握◇望ましい教育訓練の在り方◇教育訓練施設の在り方――についてアンケート、ヒアリング調査をもとに探っていく。
建設労働者のイメージアップ方策は、◇わが国における建設業に関する教育の実態調査▽米国における建設業に関する教育の実態調査▽小中学生等の意識調査▽建設技能に関するイメージアップ方策の検討――を行う。米国と比較検討しながら実態調査を行うほか、小中学生に対する建設業のイメージアップを図りながら、若年労働者の建設業への入職促進に関する具体策を検討する。
そして、これら2つの研究会の検討内容がある程度進んだ段階で、「建設技能者の確保・育成に関する検討委員会」を設けて審議する。また、同検討委員会では、厚労省の建設技能労働者の育成のあり方に関する研究会と連携を図りながら、建設業許可業者の約25%を占める個人業者(一人親方)についても検討をはじめる。社会保険加入などの課題を抱えている一人親方の実態調査を実施する予定だ。
同検討委員会のメンバーには、座長の古阪秀三京都大学助教授のほか、佐藤博樹東京大学教授、藤澤好一芝浦工業大学教授、蟹澤宏剛ものつくり大学講師の学識経験者、業界団体関係者、国土交通省、建設業振興基金で構成される。
各研究会の主なメンバー
[建設技能労働者の育成のあり方に関する研究会]
◇冨田安信・大阪府立大学教授(座長)◇遠藤龍司・職業能力開発総合大学校助教授◇藤澤好一・芝浦工業大学教授◇大槻誠治・全国中小建築工事業団体連合会事務局長◇工藤光泰・建設産業専門団体連合会常務理事◇増田祐三・全国建設業協会労働部長◇今村旬之介・東京建築高等職業訓練校事務局長◇越智薫史・全国建設労働組合総連合技術対策部長◇上土井敦・建設連合中央執行委員
[教育訓練施設の在り方に関する研究会]
◇佐藤博樹・東京大学教授(座長)◇蟹澤宏剛・ものつくり大学講師◇川崎義久・金子架設工業職業訓練校校長◇神田正光・全国建設産業教育訓練協会富士教育訓練センター東京事務局長◇田口和雄・機械振興協会経済研究所◇保坂益男・日本機械土工協会常任理事兼事務局長◇本多淳郎・鹿島安全環境部労働管理課長◇松留慎一郎・職業能力開発総合大学校教授
[建設技能労働者のイメージアップ方策に関する研究会]
◇藤澤好一・芝浦工業大学教授◇菊池卓介・千葉県立市川工業高校教諭◇澤田隆志・東急建設営業推進本部事業推進室長◇寺本潔・愛知教育大学助教授◇向井田岳・刈屋建設代表取締役専務◇沖徳一・サンオキ代表取締役社長
長寿命木造住宅指針を策定/建築主にも周知徹底図る |
国土交通省はこのほど、「長寿命木造住宅整備指針」を策定、各地方整備局、関係公社公団、都道府県などに通知し、建築主にも周知徹底するよう要請した。この指針は、主に新築木造住宅を対象に、一般的な人工林が建築用材として利用できるようになる期間、つまり再生リサイクル以上に使い続けられるような木造住宅の整備を推進することを目的に策定したものである。義務付けなどを伴うものではないが、地域特性などを配慮しながら木造住宅の長寿命化推進に運用する。
木造住宅は、新設住宅着工全体でも4割程度を占めており、特に戸建住宅におけるニーズは高い。しかし、わが国の木造住宅は欧米諸国と比べて寿命が短いことが指摘されている。また長期にわたって使用できる資産価値の高い住宅ストックを築くためにも、一般的な人工林の再生サイクル以上に使い続けられる木造住宅を整備する必要があった。地球環境面においても、二酸化炭素放出量削減、木くずなど建設廃棄物放出量の削減を図るため指針を策定した。
具体的には、木造住宅の物理的、社会的な耐久性の向上に向けた配慮事項として、(1)継続性・持続性の確保(2)物理的長期耐用性の確保(3)維持保全性・更新の容易性の確保(4)可変性の確保――の4項目にまとめた。
各項目の主な概要は次の通り。
◆継続性・持続性の確保
世代を超えて使い続けられる木造住宅とするため、地域の風土や生活様式と調和した工法などの採用や、長期間にわたり住宅が機能し続けるための居住面積、居住性能の確保を行う。また、長寿命住宅の標準仕様の策定、モデル住宅の建設を行うなどして、設計者、工務店、部品・部材供給業者にノウハウの共有化やネットワーク形成を促す。
◆物理的長期耐用性の確保
木材の腐朽や蟻害、金物のさび、基礎コンクリートの中性化などによる構造躯体の劣化を軽減するため、材料の選定、湿気処理、工法の工夫を行う。この場合、住宅性能表示制度における劣化の軽減の評価基準を参考にする。
◆維持保全性・更新の容易性の確保
耐用年数の異なる部品・部材同士の独立・分離や、部材寸法・規格の統一、維持管理に必要な情報の保存などを行い、維持保全や部品の更新が容易に行えるようにし、そのための経費の節減も図る。
◆可変性の確保
家族構成の変化に対応して、部屋の使用形態や間取りの変更を容易に行えるようにするため、間仕切り壁などの移設に際して構造躯体や設備配管が障害とならないようなインフィルシステムの採用を行う。
これら4項目のほか、住まい手の意識の啓発や廃棄物の削減、リサイクル材の有効活用を図ることなどとしている。
維持管理状況で新築並みに/住宅公庫のリ・ユース融資 |
住宅金融公庫は10月から、中古住宅を対象とした「リ・ユース住宅」の融資に対して、一定の維持管理状況を要件に返済期間を延長するなど制度を改正した。中古戸建住宅の最長返済期間は、これまで要件により15年から25年としていたのを20年から35年と新築なみにする。また、中古マンションも要件により、これまで20年から35年だった最長返済期間を25年から35年へ改正した。
まず戸建住宅などのリ・ユース住宅は、維持管理評価基準と機能的耐用性基準などにより「リ・ユース住宅」「リ・ユースプラス住宅」に分けられている。最長返済期間はリ・ユース住宅を25年(耐火構造以外は20年)、リ・ユースプラス住宅を35年に延長した。
維持管理評価基準とは、(1)基礎や外壁に0.5ミリ以上またはさび汁を伴うひび割れ、欠損、鉄筋の露出がない(2)土台・床・柱・梁・天井に腐朽・腐食・蟻害がなく、柱や壁に1000分の6以上の傾斜などがない(3)給排水設備、電気設備などに不良がない?台所・洗面・浴室・便所などに劣化がない――などで、これがリ・ユース住宅融資への要件となっている。
機能的耐用性基準は、床面積が70平方メートル以上で公庫の定める断熱性能、耐久性能、設備配管の点検の基準を満たしているなど。リ・ユースプラス住宅の融資要件は、維持管理評価基準と機能的耐用性基準を満たし、さらに設計図書が保管されていること。また、床面積175平方メートル以下のリ・ユースプラス住宅のなかで、耐久性、バリアフリー、省エネルギーのいずれかの基準に適合するものを「リ・ユースプラス住宅(基準金利適用)」とし、金利優遇が適用される。
一方、中古マンションの場合は、築後経過年数に関わらず一定の耐震基準を満たしていれば最長返済期間を25年とした「リ・ユースマンション」と、最長返済期間35年の「リ・ユースプラスマンション」に分け、それぞれ満たすべき維持管理評価基準と機能的耐用性基準を設けた。また、戸建住宅と同様に耐久性、バリアフリー、省エネルギーのいずれかの基準に適合するものを「リ・ユースプラスマンション(基準金利適用)」とし金利を優遇する。
住宅金融公庫HP=http://www.jyukou.go.jp/
住宅ローンの借入先は公庫と民間がほぼ同率/住団連調査 |
住宅の新築、建替え、リフォーム、メンテナンスなど、ユーザーが安心して依頼できる工務店の認証・登録運動がスタートし、関係者の注目を集めている。
この運動は、藤澤好一(芝浦工大教授)、青木宏之(青木工務店)、秋山哲一(東洋大教授)、小池一三(OMソーラー協会)、菰田勇司(こもだ建総)、野辺公一(オプコード研究所)の各氏が世話人会を組織し進めている。9月3日には東京・港区の虎ノ門パストラルで「地域マスター工務店登録運動」発起人会を開き、正式に活動を開始した。
運動の主な目的は、ユーザーが工事を依頼する工務店を決めるに当たって、必要な情報を積極的に提供することで「良質な工務店」の存在を知らせようというもの。情報はインターネットのホームページ上で開示するほか、名簿を作成し公共の窓口、公立図書館などに寄贈する方針だ。
地域マスター工務店に登録するためには、◇規定の情報を開示すること◇高い品質の木造住宅をつくる技術を有すること◇点検サービスを定期的に実施し、その記録を保存、更新すること◇人体や環境に害を与える建材の使用をできる限り排除すること◇時代の求める技術を蓄積、保持するために能力研修を受けていることなどが条件となる。
また、顧客満足度が高い工務店であることも条件とされるため、登録には住まい手側からの推薦状が必要となる。一方、公開した情報に虚偽があった場合はホームページを通じて公開するなどのペナルティが課せられる。
発起人会では当面、全国で1万社の登録、認証を目指して運動を推進する考えだ。
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技術ファイル | 窓付き壁を耐力壁に/セフティホームエンジニアリング |
地域工務店が開発した、木造軸組住宅の窓付き壁など開口部のある壁を耐力壁にする工法『セフティ壁』がこのほど、建築基準法第68条の26(構造方法等の認定)に基づく国土交通大臣認定を2件取得、壁倍率が定められた。開発したのは、本紙8月号「オーナーは語る」でも紹介した東京・練馬のセフティホームエンジニアリング。
セフティ壁は、同じく同社が開発した亜鉛メッキ鋼材製の三角火打金物『セフティ金物』と構造用合板を組み合わせたもの。筋交いを入れなくても窓付き壁を壁倍率1.6倍(910ミリ壁)、1.0倍(1820ミリ壁)の耐力壁に相当する性能を有し、建築確認時の壁量計算に構造体として算入できる。
取付けは、土台と横架材および柱を接合し、外側から9?厚以上の構造用合板を張り付ける(写真参照)。なお、セフティ金物は、住宅・木材技術センターの「Zマーク同等認定」を取得している。
セフティ壁・セフティ金物の販売はセフティテクノで行っている。
新設住宅着工統計/2002年8月 |
国土交通省がまとめた8月の新設住宅着工統計によると、総戸数は9万7653戸で前年同月に比べて6.7%減少し、2カ月続けてのマイナスとなった。
着工床面積も約876万平方メートルで、10.7%減少した。
利用関係別では、持家が3万0171戸で8.6%減少し、3カ月連続のマイナス。堅調に推移していた貸家も3万8873戸で2.3%減少し、5カ月ぶりのマイナスに転じた。
分譲住宅は2万7683戸で11.2%減少し、前月に続くマイナス。分譲の内訳では、戸建住宅が9525戸で14.0%減少し、12カ月連続のマイナス。マンションも1万8102戸で9.2%減少した。
地域別では、首都圏(マイナス2.2%)と中部圏(マイナス3.8%)での減少率は小さかったものの、近畿圏(マイナス15.1%)とその他地域(マイナス8.5%)で大きく落ち込んでいる。
2002年8月の新設住宅着工戸数 | 97,653 | ||
戸数 | 戸数 | ||
建築主体別 | 資金別 | ||
公共 | 1,883 | 民間資金 | 75,912 |
民間 | 95,770 | 公的資金 | 21,741 |
利用関係別 | 公営住宅 | 1,422 | |
持家 | 30,171 | 公庫融資住宅 | 15,946 |
貸家 | 38,873 | 公団建設住宅 | 11 |
給与住宅 | 926 | その他の住宅 | 4,362 |
分譲住宅 | 27,683 | 地域別 | |
(うち戸建て) | 9,525 | 首都圏 | 37,319 |
構造別 | 中部圏 | 10,937 | |
木造 | 41,395 | 近畿圏 | 14,045 |
比木造 | 56,258 | その他地域 | 35,352 |
連載・コラム
オーナーは語る/木の“カリスマ”を自認 |
国産材をじっくり自然乾燥/『住まいの絵本館』も開設
都心から40キロ圏内に位置する茨城県取手市は、江戸時代には交通の要衝、近年は東京のベッドタウンとして発展してきた。
寺田社長は学校を卒業すると、父親の仕事を手伝う形で、この世界に入ってきた。祖父から3代にわたって約1世紀、この地で建築業を営んできた家系だ。
現在の社員数は8人で、木造軸組を専門に年間10~15棟の新築を手掛けている。同社の新築住宅の愛称は『呼吸する木の家』。「国産の無垢材を柱や梁、内装などに表しで用い、断熱材は一切使わない。木の持つ調湿・調温作用や自然換気を最大限に活かすことで、夏涼しく冬暖かい快適な住宅ができる」と語る。お客さんからは「木の香りがして、時間が経つほどに味わい深くなる」と大好評だそうだ。
現場検査では「(弊害の多い)断熱材を使わない理由をきちんと説明するため、公庫融資を受けることができる」とのこと。坪単価は60万円台と地元ではやや高めの設定だが、「この仕様・性能を考えたら、おそらく他社では真似できないはず」と自信を見せる。
『呼吸する木の家』の居住性と適正価格を実現するのに重要な役割を果たすのが、豊富なストックを誇る資材センター。40年かけて試行錯誤しながら、国内の産地を歩き回って地道に木を研究し、流通の簡素化にも取り組んできた長年の成果だ。寺田社長は「優れた木材はワインと同じで、寝かせれば寝かせるほど本来の味が醸し出される」と考えている。実際には、原木を直接買い付け自社で製材し、最低で2~3年、太い柱・梁は7~8年かけてじっくり自然乾燥させる。
また、8年前に『住まいの絵本館』を事務所内に開設した。住宅・建築関連の書籍や雑誌5千冊以上を保有し、約800人の会員に無料で貸し出している。さらに、絵本館では『失敗しない家づくり講座』や料理・工作教室などのイベントを定期的に開催。参加者に住宅の基礎知識などを身に付けてもらうと同時に、将来の顧客も育てている。
「手間暇をかけた本物の住宅は生き残る」と信じる寺田社長の願いは「日本の気候・風土に合う、国産材を使った家づくりを次の世代に伝承していくこと」。そのためには?木のカリスマ?を自認しながらも「木は奥が深く、まだまだわからないことが多いので、死ぬまで勉強が必要」と語ってくれた。
建声 |
今年の技能五輪国内大会会場は熊本県。数十職種に分かれていずれ劣らぬ精鋭たちが、日ごろ鍛えた腕を競う。
この大会で金メダルの栄光を勝ち得た人たちは2年に1回開かれる世界大会への出場権を獲得する。次回の大会は来年スイスで開かれ、およそ30カ国・地域の代表たちが参加する見込みだ。
ところで日本代表の「戦績」はどうか。残念ながら余り振るわない。ピークの70年世界大会での日本代表の金メダル獲得数は17個で、大いに気を吐いた。それが01年にはわずか4個に激減した。お隣の韓国は20個で断然トップ。銀と銅を合わせたメダル獲得数も韓国、台湾、スイスの順で、日本はドイツと並んで4位だった。日本人は手先が器用だといわれるがこれではカタなしだ。
こうした状況の背景にはなにがあるのだろうか。やはり何もかも機械化して効率を追求する風潮、さらに生産設備の海外への移転などが、わが国における技能水準を相対的に低下せしめているのではないだろうか。
技能はものづくりの基盤であり、このことは将来ともに変わらないだろう。技能振興策の強化が強く望まれる。
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