宅建試験の難易度はどれぐらい?
他の資格との比較・取得メリット解説!
「宅建試験の難易度はどれぐらい?」ここでは、宅建の試験難易度や、他試験と比較した時の偏差値的な考え方を使って、試験難易度を分かりやすくイメージできるように紹介しています。本記事を読み、宅建士資格所得を前向きに検討する人が増えることを目的に丁寧に解説していきます。
目次
- 他の資格と比較した宅建士の難易度とは?
- ■宅建士
- ■FP3級
- ■FP2級
- ■FP1級
- ■マンション管理士
- ■管理業務主任者
- ■賃貸不動産経営管理士
- ■不動産鑑定士
- ■司法書士
- ■行政書士
- 宅建士の難易度が高い理由
- ■誰でも受験できる=受験者数が多い
- ■近年は難易度が上がってきている
- 難易度が高くても宅建の人気が高い理由
- ■他の士業より難易度が低い
- ■就職や転職に有利である
- ■資格手当をもらえる
宅建士とは
そもそも宅建士(宅地建物取引士)とは、宅地建物取引業法(宅建業法)に基づき、宅地建物の公正な取引が行われることを目的として設置された国家資格です。
宅建士になるには、宅地建物取引士資格試験(宅建試験)に合格し、試験を実施した都道府県知事の資格登録を受け、かつ、当該知事の発行する宅地建物取引士証の交付を受ける必要があります。
宅建士は、毎年受験者数が20万人を超える非常に人気の高い国家資格です。他の国家資格と比べると、合格しやすい、法律系資格の初級的な位置づけ、不動産業界以外でも活用できる、などの理由により数ある国家資格の中でも抜群の人気となっています。
他の資格と比較した宅建士の難易度とは?
他試験と比較した宅建士の難易度を説明します。ここでは、主に合格率と合格までに必要な学習時間を指標にして比較しています。ただし、試験によっては試験内容と受験者層に隔たりなどがあるため、この指標は目安として考えてください。
試験科目 | 問題数 |
---|---|
宅建士 | 合格率:15~18% 学習時間:300~350時間 |
FP3級 | 合格率:75% 学習時間:80~150時間 |
FP2級 | 合格率:50~60% 学習時間:150~300時間 |
FP1級 | 合格率:10%程度 学習時間:600時間程度 |
マンション管理士 | 合格率:10%程度 学習時間:450~550時間 |
管理業務主任者 | 合格率:20%程度 学習時間:200~300時間 |
賃貸不動産経営管理士 | 合格率:30%程度 学習時間:100~200時間 |
不動産鑑定士 | 合格率:5%程度 学習時間:2,000~3,700時間 |
司法書士 | 合格率:4~5% 学習時間:3,000~3,500時間 |
行政書士 | 合格率:11~14% 学習時間:500~800時間 |
上の表を見るとわかる通り宅建士は他の資格と比較しても、極端に合格率が低い資格ではなく、また勉強時間が膨大に必要な試験ではないことがわかります。
ただ、合格率が15%~18%程度ということもあり、簡単に誰もが合格できる試験ではないことも確かです。
以下では、各試験の特徴について簡単にまとめましたので他の資格と比較して、宅建士がどの程度の難易度なのかを確認しましょう。
宅建士
合格率:15~18%
学習時間:300~350時間
試験概要は、四肢択一式(50問)マークシート形式による試験です。合格には35/50問前後の正解が求められていますが、近年は高得点化が続いているため余裕をもった38問/50問前後を目標にしましょう。試験科目は例年、権利関係(14問)・法令上の制限(8問)・税その他5問免除科目(8問)・宅建業法(20問)の4科目で構成されています。各科目によって問題数が異なるため、合格するためには自分の得意分野と苦手分野、各々に学習時間を割く科目を計画的に練る必要があります。
FP3級
合格率:75%
学習時間:80~150時間
試験概要は、学科試験・実技試験の2パートに分かれていますが、2024年度よりどちらもCBT(Computer Based Testing)方式となりました。学科試験は、全6科目10問ずつ出題され、合計60%の正解で合格となります。試験科目は、ライフプランニングと資金計画、リスク管理、金融資産運用、タックスプランニング、不動産、相続・事業承継の6科目です。実技試験は、学科対策の知識で対策可能ですが、出題方法では、FPが顧客にアドバイスする視点で出題される特徴があります。
FP2級
合格率:50~60%
学習時間:150~300時間
試験概要は、FP3級試験と同様で、学科試験・実技試験の2パートに分かれています。FP3級に続き、2025年度よりどちらもCBT(Computer Based Testing)方式となりました。科目は、FP3級と同様ですが、3肢択一のFP3級試験と比較して、FP2級では4肢択一になる違いがあります。また法人に関する出題の難易度も上がります。
FP1級
合格率:10%程度
学習時間:600時間程度
試験概要は、2級や3級と同様に学科試験・実技試験の2パートに分かれています。学科試験は、基礎編(マークシート形式50問)・応用編(記述式5題)の2部で構成されており、FP2級までと同様に6科目の範囲になりますが、それぞれの科目でより専門性の高い出題がされます。例えば、不動産の科目では宅建士と同等の知識が必要になります。また、実技試験は筆記試験方式で 20問出題され、選択問題・計算問題・論述問題で構成されます。
マンション管理士
合格率:10%程度
学習時間:450~550時間
試験内容は、50問4肢択一のマークシート方式です。試験科目は、法令(民法とその他法令・区分所有法等・標準管理規約・マンション管理適正化法)、管理実務(標準管理委託契約書等・会計)、建物の建築・設備系、となります。近年は合格率10%程度で推移しており、資格試験の中でも難易度は高めの傾向となっています。
管理業務主任者
合格率:20%程度
学習時間:200~300時間
試験内容は、50問4肢択一のマークシート方式です。試験科目は上述のマンション管理士とほぼ同様ですが、各科目の出題数内訳が少し異なる程度と考えて良いでしょう。例年、合格率は20%程度で推移しており、マンション管理士よりは難易度がやさしめの傾向となっています。
賃貸不動産経営管理士
合格率:30%程度
学習時間:100~200時間
試験内容は、50問4肢択一のマークシート方式です。試験科目は、管理受託契約に関する事項や、家賃・敷金・共益費その他の金銭の管理などの全6科目で構成されています。2021年(令和3年)より国家資格化となり、以前までは合格率50%程度でしたが、近年は30%程度と難易度が上がる傾向となっています。
不動産鑑定士
合格率:5%程度
学習時間:2,000~3,700時間
試験概要は、短答式試験・論文式試験の2段階の試験に分かれています。短答式の試験科目は、行政法規・鑑定理論で構成され、択一式のマークシート方式で7割程度の正答率が求められます。論文式の試験科目は、民法・経済学・鑑定理論で構成され、論文形式で6割程度の正答率が求められます。宅建試験で必要な権利関係などの科目が活かせるため、宅建士取得後に不動産鑑定士を目指す方が多いのも特徴です。また、法律や経済学、不動産に関する幅広い専門的な知識が必要となることから、最終合格率は5%程度と非常に難易度が高くなっています。
司法書士
合格率:4~5%
学習時間:3,000~3,500時間
試験概要は、筆記試験と口述試験の2段階で構成されています。筆記試験の試験科目は、憲法・民法・刑法・商法(会社法)から構成され、択一式と記述式に分かれています。午前の部の択一式、午後の部の択一式、記述式とそれぞれのパートで合格基準点を超える必要があり、最終合格率も4~5%と非常に難易度が高い最難関の国家資格の一つです。
行政書士
合格率:11~14%
学習時間:500~800時間
試験概要は、選択式のマークシート方式と記述式の2部で構成されています。選択式は、法令等と基礎知識(一般知識等)が試験科目になっており、記述式は例年、行政法と民法から出題されています。近年の合格率は10~14%で推移しており合格率はあまり高くありませんが、他の国家資格の相対評価とは異なり、一定の基準をクリアすれば合格となる絶対評価のため、しっかりとした対策をすれば初心者でも合格可能な試験です。
宅建士の難易度が高い理由
誰でも受験できる=受験者数が多い
宅建試験の合格率は、15~18%と相対的に低い難関試験だと思われがちですが、その原因の一つが受験資格にあります。宅建試験は、受験資格を必要としないため、高校生や大学生でもチャレンジする人が多い資格となっています。具体的には、日本国内に居住する人であれば、年齢や学歴等に関係なく、誰でも受験が可能なため、受験申込みをしても本試験当日に試験会場に行かない(本試験を受けない)受験生が多い資格試験の1つです。
また、誰でも受験できるとともに、非常に人気の高い資格であるため、国家資格の資格試験において最も受験者が多い試験が宅建試験です。例年、約20万人以上が受験し、その合格者数は約3万人~4万人となっています。つまり全受験者のうち17万人以上は不合格となり、割合で言うと7人中6人は不合格となる試験です。
このように、受験者数が多いにもかかわらず合格者数はほぼ一定のため、相対的に合格率が低くなることが難易度が高いと言われる理由の一つです。
近年は難易度が上がってきている
近年の宅建試験は出題内容自体に変化はありませんが、問題文の長文化や暗記だけでは対応できない問われ方の増加などによって明らかに難易度が上がってきています。また「この中で正しい選択肢はいくつあるか?」とった消去法の使えない問題も増加しており、曖昧ではない正確な知識が求められてきています。試験勉強する際には、何となくの回答ではなく、どこが異なるのかという深い理解まで落とし込むよう意識しましょう。
難易度が高くても宅建の人気が高い理由
他の士業より難易度が低い
宅建業務の高度化に伴い、宅建の資格が弁護士・司法書士・税理士・社会保険労務士のように士業になりました。しかし、上述であげた他の士業と比較すると、現時点ではその難易度は易しく比較的合格しやすい試験だと言えます。
就職や転職に有利である
宅建士の資格は、就職や転職にも有利に働きます。就職時に宅建士の資格を持っていると不動産業に好印象を与えることが出来ます。宅建士資格を就職の段階で保有している場合は、業界への強い関心を示せることに繋がります。また、不動産仲介業などを行う事務所では、従業員5人のうち1人以上の宅建士設置が義務化されているため、宅建士はどの事務所でも必要な人材なのです。そのため、転職にも非常に有利に働きます。
資格手当をもらえる
宅建士は不動産仲介業を行う場合に必須の資格となるため、資格手当を出している企業も少なくありません。大手不動産企業では毎月の月収に5,000~30,000円のベースアップを導入している企業もあります。ベースアップとはいかないまでも、資格取得一時金として5~10万円程度の還付金を褒賞としている企業も少なくありません。
宅建試験の難易度は偏差値どれぐらい?
宅建試験の難易度をイメージしやすいように、他試験と比較して偏差値(目安)で表すとどのようなレベルになるのでしょうか。
下図の通り、国家資格のトップに位置する司法試験・予備試験を東大・京大レベルとすると偏差値は68以上になります。次いで、慶應・早稲田・上智大学が位置する偏差値65~67レベルに不動産鑑定士・司法書士・弁理士等が位置します。偏差値60~64では、明治・青山・立教・中央・法政が位置し、中小企業診断士・行政書士・マンション管理士等の難易度になります。最後に、日大・東洋大学等が位置する偏差値55~59程度に宅建士・管理業務主任者等が位置するような難易度になっています。
資格名 | 偏差値(目安) | 大学例 |
---|---|---|
司法試験 | 68以上 | 東大・京大レベル |
不動産鑑定士・司法書士・弁理士等 | 65~67 | 早慶上智レベル |
中小企業診断士・行政書士・マンション管理士等 | 60~64 | MARCHレベル |
宅建士・管理業務主任者等 | 55~59 | 日東駒専レベル |
まとめ
宅建試験の難易度はイメージできたでしょうか?
不動産関係の試験において、宅建試験のレベルを解説してきました。合格率は15~18%と受験に躊躇したくなるような数値ですが、受験資格が無く、多くの受験生がいることを考えると決して高難易度な試験ではないことが分かったかと思います。この記事を見て、宅建士取得を目指す人が増えることを願っています。