建築を学んだそのあと「NEXT STAGE」
|伯耆原洋太さん
大学の建築学科を卒業し、ゼネコンに入社しました。僕はビックプロジェクトの設計を行う部署に所属し、入社当初はわからないことだらけでした。当時は「自分はこのプロジェクトの中で求められている役割が担えているのだろうか」と日々悩んでいました。社会人になると学生時代のように「自由なデザインを考える」ことがやれるわけではありません。そんな不安な毎日の中でも、自分自身で成し遂げた証として示せる明確な指標が欲しくて、一級建築士をとりたいと、心の底から思いました。
資格取得のために日建学院に入り、仕事と勉強を両立する日々が始まりました。当時、担当プロジェクトの進行状態は基本設計の段階でした。プロジェクトに参加していた先輩は現場で僕にやってほしい仕事がある中で、試験までラスト3週間に差し掛かっており、定時で上がりすぐにでも学校に向かいたかった。当然、その状況を先輩に理解してもらわないといけない。すでに先輩は一級建築士を取得していましたので、自分に合う最適な方法を探るため、直接聞いてみることにしました。「どうやって一級建築士の資格をとったのですか?」と聞くと、「学校に通ってなかった」「こんなに甘やかされていなかった」と即答され挫けそうになりました。ですが、僕は合格を諦めきれませんでした。僕は先輩とスタンスの違いもありましたが、足りない分の学習量や方法は自分でわかっていたので、自分の中で納得ができるまで先輩と意見をぶつけ合おうと決めました。
結果、晴れて合格できた際、会社の同僚や先輩、上司が本当に喜んでくれました。そこで初めて「こんなに応援していてくれたんだ。自分はどれだけみんなに甘えていたのか」と思い、同時にものすごく感謝しました。
一級建築士の資格の勉強を始めて、テストで90点以上をとれるようになったし、製図もかけるようになった。けれども資格取得によって仕事に大きな変化があるかというとそんなことなくて。ただ勉強したことによって自分はこんなにも「建築を知らないんだ」ということが分かったことに意味があると思うんです。一級建築士を取得したことは、忘れかけていた自分が考える「建築」に対してもう一度向き合うきっかけになりました。学生の頃に設計だと思っていた「自由なデザインを考える」ことは、社会人になると中々難しい。しかし、法規にのっとって様々な申請をクリアしていく仕事も重要な設計の仕事であると、ゼネコンの設計者になってリアルに知りました。設計者は多様な建築の側面を知っていないといけないし、それが面白さだと思います。その建築の奥深さ、幅広さとしっかり向き合うきっかけをくれるのが一級建築士試験だと思います。まだまだ分からないことだらけだけど、まがりなりにも、一級建築士。これからもどんどん建築の面白さを発見していきたいです。
Houkibara yota
伯耆原洋太
一級建築士
総合建設業(設計)
早稲田大学大学院(入江研究室)
スマートイルミネーションアワード
2013年(最優秀賞)
トウキョウ建築コレクション 2015年
(修士設計展 大西麻貴賞)
一級建築士合格@2016年
In 日建学院池袋校