2024年 構造設計1級建築士講習 修了考査 総評
総評
概説
選択理由記述式4肢択一は、令和3年度より法適合確認と構造設計に分離されて今回で4年目になり、10問それぞれの出題項目は、ほぼ固定化されてきている。出題項目の分野は多岐に渡るものの、過去の出題内容と同一あるいは類似した記述もあり、過去出題内容を確実に正答できることが必須条件となる。
理由記述は、不適当(または適当)とする理由を簡潔かつ正確に記述する必要があり、黄色本※や青本※内での該当箇所を短時間で参照できるよう、過去問題を通じて黄色本や青本を十分に読み込むトレーニングが必要である。
記述式では、法適合確認、構造設計ともに構造設計に関する基礎知識や設計上の留意点等が理解できているかが中心に問われている。
法適合確認では、一貫構造計算プログラムの使用にあたり注意すべき点、木質構造の鋼板ドリフトピン接合部の引張耐力、2階建て鉄骨造建築物の耐震計算ルート2の適用、鉄筋コンクリート造の耐震計算ルート3による保有水平耐力の確認が出題された。
構造設計では、単層門形鉄骨架構の仮想仕事法による降伏変位の算定、柱梁接合部の納まりスケッチ、鉄筋コンクリート造梁の短期許容応力度、杭基礎の支持力算定と二層地盤の支持力度と圧密沈下検討が出題された。
※「2020年版建築物の構造関係技術基準解説書」を「黄色本」、「国土交通大臣登録構造設計一級建築士講習テキスト2024年改訂版」を「青本」と記載。
問題の内容
1.法適合確認(選択理由記述式 4肢択一問題)
計10問あり、出題項目は、建築構造設計のあるべき姿、構造関係規定の位置づけ、地震力、荷重及び外力、鉄骨造の耐震計算、鉄筋コンクリート造の耐震計算ルート3、木質構造、耐風設計、保有水平耐力計算2問であった。
法適合確認の4肢択一問題は、主に黄色本(一部、青本)の該当箇所から不適当である選択肢をいかに効率よく探し出せるかが解答のポイントとなる。
解答例には正答肢以外の選択肢にも黄色本や青本の該当箇所を示している。また、問題文や選択肢には過去問題と類似した記述があり、その場合は解答例には補足として、類似した記述のある年度と問題選択肢を併記している。
2.法適合確認(記述式)
大問として3題あり、出題項目は以下のとおりである。
問題1
- 〔No.1〕一貫構造計算プログラムの使用にあたり注意すべき点、一貫構造計算の処理以外
▶ 吹抜けのある架構のモデル化と断面検討 - 〔No.2〕木質構造の鋼板ドリフトピン接合部の短期許容引張耐力の算定
問題2
- 〔No.1〕~〔No.4〕2階建て(2層1スパン)鉄骨造建築物の耐震計算ルート2の適用
( R3年度 問題2 と、やや類似 ) - ▶ 地震時層せん断力
- ▶ 梁端部の短期設計用曲げモーメント、曲げ材の座屈許容応力度
- ▶ 露出型柱脚の回転剛性
- ▶ 柱脚の保有水平耐力接合の条件判定
- ▶ 大地震時に構造耐力上支障のある急激な耐力低下を生じるおそれがないことを確かめるための接合部も含む柱及び梁部材に求められる検討項目
問題3
- 〔No.1〕及び〔No.2〕鉄筋コンクリート造の2棟の建築物(中低層の耐力壁付きラーメン構造、中高層の耐力壁付きラーメン構造)を対象とし、耐震計算ルート3により静的弾塑性荷重増分解析を実施した保有水平耐力の確認
( R4年度 問題2 に、やや類似 ) - ▶ 保有水平耐力、構造特性係数Dsの算定と判定理由
- ▶ 柱の部材種別、せん断力に対するせん断耐力比
- ▶ 柱梁接合部がせん断破壊する場合の柱種別の判定
- ▶ 柱の種別ごとの負担せん断力の集計
- ▶ 構造特性係数Dsの算定と判定理由
3.構造設計(選択理由記述式 4肢択一問題)
計10問あり、出題項目は、構造力学(トラス構造)、鉄筋の付着・定着、構造計画・構造解析、耐震設計、鉄骨構造、鉄筋コンクリート造、木質構造、免震・制振構造、地盤・基礎、耐震診断・耐震補強であった。
構造設計の4肢択一問題は、主に青本(一部、黄色本)の該当箇所から不適当である選択肢を探し出せるかが解答のポイントとなる。
解答例には正答肢以外の選択肢にも青本や黄色本の該当箇所を示している。また、問題文や選択肢には過去問題と類似した記述があり、その場合は解答例には補足として、類似した記述のある年度と問題選択肢を併記している。
なお、構造設計の4肢択一問題は短文のため、正確な表現とは言い切れず判断し切れない記述もいくつか見られる。
(例えば、記載内容が必ずしも言い切れない場合には「一般に」などと表現されている)そのため、解答例では、「最も不適当なもの」という観点で解答している。
4. 構造設計(記述式)
大問として3題あり、出題項目は以下のとおりである。
問題1
- 〔No.1〕~〔No.4〕柱頭に水平力Pを受ける単層門形鉄骨架構
( R5年度 問題2 と、やや類似 ) - ▶ 曲げモーメント図
- ▶ 梁の全塑性モーメント、架構の降伏せん断力、仮想仕事法を用いた柱頭の弾性変位
- ▶ エネルギー一定則に基づく架構のDs相当時の塑性率と層間変形角
- ▶ 直交する梁のせいが異なる柱梁接合部の納まりスケッチ
問題2
- 〔No.1〕~〔No.2〕鉄筋コンクリート造梁に作用する短期荷重時の許容せん断応力度
( H27年度 問題1 と、やや類似 ) - ▶ 梁の引張鉄筋比
- ▶ 梁の短期許容曲げモーメント
- ▶ 梁の降伏曲げモーメント
- ▶ 梁の両端が曲げ降伏するときの設計用せん断力
- ▶ 梁の短期許容せん断力
- ▶ 引張鉄筋比が小さい場合の梁の挙動
問題3
- 〔No.1〕及び〔No.2〕高層棟及び中層棟の建築物を計画する場合の基礎の設計
( R5年度 問題1・R3年度 問題3〔No.2〕・R2年度 問題3・R元年度 問題3・H29年度 問題3・H28年度 問題3 と、類似 ) - ▶ 高層棟の杭基礎の極限先端支持力、極限周面抵抗力、長期許容鉛直支持力度の算定
- ▶ 中層棟の直接基礎(べた基礎)下の二層地盤の長期許容鉛直支持力度
- ▶ 建設前の原地盤の初期有効応力
- ▶ 建設による基礎中心軸上の伝達鉛直応力
- ▶ 圧密沈下の判定と判定理由
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