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今週の質問(2019.04.08)
断熱材について、「中空層に断熱材を入れると、断熱効果は空気層を設けるよりも高い」とあるが、熱伝導率の表を見ると、断熱材の熱伝導率(0.03~0.04W/m・K)、空気の熱伝導率(0.02W/m・K)とあり、空気の方が熱伝導率が小さいです。これらはどのように理解すればいいのですか?
まず、「熱伝導率」の用語の意味から理解していこう!
熱伝導率とは、材料内の熱の伝わりやすさのことを指しているよ。この数値で、「材料の厚さ」を割った値が、熱伝導抵抗と呼ばれる値になる。熱伝導抵抗が大きくなるにつれて、熱貫流率が小さくなり、断熱効果が上がるんだ。
例えば、金属は、熱伝導率が大きいものが多いよね。
これは、分子衝突や自由電子衝突が起きるため、他の材質に比べてさらに熱が伝わりやすいからなんだ。
それを踏まえて、断熱材について考えてみよう。
使用している材料の熱伝導率で、断熱材の厚さを割り算した値は、断熱材の厚さに比例して大きくなっていく。すなわち、熱伝導抵抗が大きくなり、断熱効果も高くなっていく、ということになるよ。
では、空気の場合はどうだろう。
実は、空気は、熱伝導率でそのまま割り算しても、断熱材とは違って、比例して高くなっていくわけではないんだよ。
下のグラフと図を見てみよう。
左のグラフは、密閉状態のとき・半密閉状態のとき、それぞれの空気層の厚さと熱抵抗の大きさを示している。右の図は、密閉状態と半密閉状態のイメージを示しているぞ。密閉状態のときと、半密閉状態のときで、断熱効果は大きく異なるんだ。
今回は、左のグラフの数値に着目してほしい。このグラフで理解しておいてほしい2つのポイントをおさえておこう。
1つは、厚さ20~30mmまでは比例しているのに、それ以上は減少していること。
これは、空気の層が厚くなればなるほど対流が起きるため、空気のもっている熱が伝わりやすくなるせいなんだ。右の図をみると、半密閉状態のほうが空気の動きが大きくなっているよね。空気は動けば動くほど、熱を手放していくことも覚えておこう。
もう1つは、青のライン(密閉状態)に比べて、赤のライン(半密閉状態)では、熱抵抗の値が3分の1くらいになっているということ。つまり、これだけ断熱効果が落ちてしまうんだ。
このように、空気の断熱効果は、熱伝導率の数値より、気密性と深い関連性があるんだよ。
ここで、質問のもとになった文章をもう一度読み返してみよう。「中空層に断熱材を入れると、断熱効果は空気層を設けるよりも高い」。これを言い換えると、「中空層に断熱材を入れない場合は、熱伝導だけでなく、熱対流によっても熱が移動し、断熱効果が下がってしまうのに対し、中空層に断熱材を入れた場合は、断熱材の厚さに応じて熱伝導抵抗が大きくなるため、断熱効果をより効率的に高めることができる。」ということだね。
理解はできたかな?
理解がうまくできない文章や解説を見つけたら、その言葉の意味や、性質を改めて見直してみよう。
新しい発見とともに、ぐっと理解も深まるぞ!