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今週の質問(2019.05.07)
力学の断面の性質において、「断面二次モーメント」と「断面係数」の意味の違いは何ですか?
断面二次モーメント、断面係数、どちらも重要なキーワードだね。
力学では、頭でしっかりとイメージできるかどうかがポイントになるぞ。
では、それぞれの意味を確認していこう。
まず、断面二次モーメントとは、変形のしにくさを表しているんだ。具体的には、たわみや座屈に関係してくるぞ。
下の図を見てみよう。
左の図は「たわみ」、右の図は「座屈」のイメージになっている。
左の図では、単純梁に荷重がかかっている様子だね。矢印の方向に荷重がかかると、部材が青の点線のほうへわん曲していくのがイメージできるかな。この変形量を、たわみ、というんだ。
また、右の図は、細長い部材に圧縮力を加えている様子を示しているよ。このときも、圧縮力によって、部材は曲がってしまうよね。この現象を、座屈、というんだよ。
「断面二次モーメントとは、変形のしにくさを表している」と先ほど説明したけれど、これは具体的には、「断面二次モーメントの数値が大きければ大きいほど、たわみや座屈が起きにくい」という意味になるんだ。
つまり、断面二次モーメントは、変形しにくさ=曲がりにくさを表す数値、ということだね。
断面二次モーメントの公式には、これを用いるぞ。
同じ断面積の部材で考えると、右の図のように、「縦に使うか」それとも「横に使うか」で、曲がりにくさが変わるので、断面二次モーメントを計算するときは、「軸に対してどこが幅になるのか」「どこが高さになるのか」についても正しく把握すると、一気に解きやすくなるよ。
ちなみに、長方形の場合を考えると、
- ●幅は、軸と平行である辺の長さ
- ●高さは、軸に対して垂直である辺の長さ
をそれぞれ指していることも、併せて覚えておこう。
次に、断面係数について考えてみよう。
断面係数とは、部材の曲げ強さを表している。これは、「断面係数が大きい方が、曲げに対して強い」と言い換えることができるぞ。
下の図を見てみよう。
これは、曲がっている部材の一部を示しているよ。曲がる、というのは、圧縮と引張のどちらにも関わっているけれど、その一部だけをわかりやすくしたものが、この図になる。
左の図は、部材の圧縮側の一部が壊れてしまった様子、右の図は、部材の引張側の一部が壊れてしまった様子を表している。
これらの図のように、壊れるまでの強さ、というのが、断面係数、ということになるんだよ。
これを踏まえて、断面係数の公式を、まず言葉で考えてみよう。
この式を下の図の長方形断面で考えてみると、公式の分母にある「図心を通る軸(X)から、断面の縁」というのは、上辺か下辺のどちらかになるよね。
これは、ちょうど、高さの半分(高さをhとすると、h/2)となるのがわかるかな。
これを数値にして、先ほどの言葉の公式と置き換えてみると、このようになる。
さらに、この分数に、先ほどの断面二次モーメントの式を代入して、整理していくと、もっとすっきりさせることができるよね。
これが、断面係数の公式となるんだ。
部材の変形のしにくさを示す「断面二次モーメント」と、部材の曲げ強さを示す「断面係数」は、似ているようで、全く違う意味合いを持っていることが理解できたかな。
意味が違うから、公式も別のものになっている、ということだね。
このあたりの勉強は、公式を実際の問題にどう使っていくかがポイントになるから、諦めずに向き合っていこう。