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週刊濱崎塾(毎週月曜日更新)
今週の質問(2020.03.02)
高力ボルトの孔あけ加工は、ドリル孔あけはよくて、せん断孔あけではだめなのでしょうか?
鉄骨工事についての質問だね。
まず、高力ボルト接合について確認してみよう。
高力ボルト接合とは、鋼材同士を強い力で締め付けることによって生じる摩擦力によって、力を伝達する接合法だ。
この高力ボルト接合で重要なキーワードは「摩擦力」なんだ。
だから、高力ボルトの接合面は、「摩擦力」を妨げるような状態にしてはいけないんだ。
高力ボルト接合
では、ここで質問の内容に戻ろう。
先ほど、接合面は「摩擦力」を妨げるような状態にしてはいけないと説明したね。
ドリル孔あけは、鋼材より硬い素材のドリルで表面を削り取るようにして孔をあける加工なので、精度の高い孔あけができるけど、せん断穴あけは、孔の部分を上から押し抜くように開ける加工なので、孔あけ後に孔の周りに「バリ」と呼ばれる出っ張りが生じやすいんだ。この「出っ張り」があると鋼材が密着せず、接合面の「摩擦力」を妨げてしまうから、高力ボルトの孔あけには向かないんだ。ただし、鋼材の厚さが13㎜以下で高力ボルト以外の孔あけには用いることができるので覚えておこう。
また、高力ボルトの接合面の処理に「ブラスト処理」という方法がある。これは、鋼の粒を吹き付けて接合面の粗さを確保するものなんだけど、ブラスト処理で鋼材の表面を適度に粗くすることで、鋼材同士の摩擦力を高めることができるんだ。このブラスト処理は、孔あけ加工が終わってから行うということも覚えておこう!