2024年 1級建築士 学科試験合格発表
2024年7月の1級建築士 学科試験結果情報をまとめました
試験内容を振り返り、次の試験に役立つ情報をご案内します!
試験結果
受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|
28,067人 | 6,531人 | 23.3% |
合格基準点
学科 I (計画) |
学科 II (環境・設備) |
学科 III (法規) |
学科 IV (構造) |
学科 V (施工) |
総 得 点 |
|
---|---|---|---|---|---|---|
合格 基準点 |
11 |
11 |
16 |
16 |
13 |
92 |
- ※各科目及び総得点の合格基準点すべてに達している者を合格とする。
- ※なお、合格基準点について、各科目は過半の得点、総得点は概ね90点程度を基本的な水準として想定していたが、総じて難度が低かったことから、上記合格基準点としている。
総評
《合格発表》合格基準点は、昨年より
4点上がり、92点。合格率は、近年で最も高い23.3%!
7月28日(日)に実施された1級建築士学科試験の合格者が発表された。
受験者28,067名、合格者6,531名、合格率は23.3%で昨年より7.1ポイント上がった。
合格基準点は、計画が11/20点、環境・設備が11/20、法規、構造が16/30点、施工13/25点、総合92/125点。
計画(点) | 環境 設備(点) |
法規(点) | 構造(点) | 施工(点) | 総得点(点) | 合格率 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|
R6年 | 11/20 | 11/20 | 16/30 | 16/30 | 13/25 | 92/125 | 23.3% |
R5年 | 11/20 | 11/20 | 16/30 | 16/30 | 13/25 | 88/125 | 16.2% |
※なお、合格基準点について、各科目は過半の得点、総得点は概ね90点程度を基本的な水準として想定していたが、総じて難度が低かったことから、上記合格基準点としている。
《試験傾向と難易度分析》
標準的な問題の正誤が合否を分けた!
出題傾向は、実務に携わる上での啓発的な出題や社会的な重要性の高い分野からの出題となっており、昨年から大きな変わりはない。
正答率Aランク(70%以上)の設問が昨年より18問増え50%出題され、正答率Bランク(50%以上70%未満)の設問が、昨年より12問減り34%出題された。
容易なAランクの問題、標準的なBランクの問題を確実に得点できたかにより、合否が分かれた。
1.受験者数、合格者数
R元年 | R2年 | R3年 | R4年 | R5年 | R6年 | |
---|---|---|---|---|---|---|
受験者数 (人) |
25,132 | 30,409 | 31,696 | 30,007 | 28,118 | 28,067 (51減) |
合格者 (人) |
5,729 | 6,295 | 4,832 | 6,289 | 4,562 | 6,531 (1,969増) |
合格率 (%) |
22.8% | 20.7% | 15.2% | 21.0% | 16.2% | 23.3 |
受験者の数は、前年に比べると、51名減少したが、合格者数は、1,969名増加した。
2.今後の学習方針
標準問題(Bランク正答率50~70%)の取りこぼしが合否を分ける!
「学習の質」が問われる試験!
近年の試験は、従来の表現や論点を変えた出題が増えている。標準問題の対策としては、単に過去の出題を暗記するだけでは不十分で、問題の本質を正しく理解し、その周辺情報まで一歩掘り下げた発展的な学習が求められる。つまり、学習の量だけでなく「学習の質」が問われる試験になっている。
そこで重要なのは、発展的な学習の方向付けである。無作為に学習範囲を広げても、それは非効率であるだけでなく、出題傾向から逸脱してしまうことにもなりかねない。
また、近年の試験は、専門技術者としての「資格者責任」、「契約者責任」、「社会的責任」が問われる建築士の位置付けから、出題内容は多岐にわたる。実務において求められる啓発的な内容が大きな柱になり、各科目の範囲に縛られない出題が増えたことに注目しなければならない。
だからこそ、5科目の内容を横断的に整理した効果的な発展学習が必要であり、そのためには、学習の方向付けを明確にすることが重要で、その「学習の質」が合否を分けることになる。
試験の特徴
【計 画】
学科Ⅰ(計画)の出題内容は、SDGsや脱炭素社会の実現に沿った省庁等によるガイドラインに関するもので、近年は継続して出題されている。今年も新規の内容が随所に見られ、特にNo.4(人間の行動・心理)、No.15(社会福祉)等は、建築の分野ではないが昨今の世相を反映したものであった。
No.5 (断熱計画)、No.7(木質系材料)等のように、計画以外の出題内容も目立ち、計画という科目にとらわれず、総合的な知識が要求されていると言える。
No.2(日本建築史)、No.7(木質系材料)、No.13(住宅地・集合住宅)、No.20(建築マネジメント)は、当学院の公開模擬試験にて出題した内容が含まれ、難易度が高い問題もあったが一般の受験生より正答率が高かった。
No.8(各部寸法)、No.14(商業建築物等)、No.16(病院)は、テストや予習・復習等で学習した内容で、講義出席率と教材提出率の一定基準をクリアした当学院生は正答率70%以上を確保していた。当学院のカリキュラムを実施することにより、学習内容を正確に把握した状況が伺える。
例年、No.3(西洋建築史)、No.12(住宅)、No.17(美術館)等の実例建物の出題は、難易度が高く対策が難しい。当学院では、隙間時間を活用して学習できる映像講義「ピンポイント解説!」を用意しており、プラスαの学習として視聴した当学院生は得点に繋げられたといえる。
【環境・設備】
学科Ⅱ(環境・設備)は正答枝が過去問の知識を元にして判断しやすい記述が多く、全体的には正答率が高い問題が多かった。しかし、その中でも学習の取り組み方により正答率に差が生じている。
No.12(空気調和設備等)の正答枝の枝1は、令和元年に誤りの記述として出題されており必ず解けなければならない問題だった。
当学院では理論講義等で「中央熱源方式」についてシステムから理解できるように解説し、類似の記述を厳選テストと必勝テストという本試験直前期に実施する教材で繰り返し出題していた。
単なる過去問の暗記だけではなく、理解し反復する学習を行うことで一般の受験生よりも当学院生の方が高い正答率を出すことができた。
No.15(排水設備等)も同様の傾向があり、こちらは正答枝の枝2を公開模擬試験③でも取り扱っていたため、さらに正答率の差が大きくなったと分析している。
過去問だけを繰り返し解いていると「記述を暗記するだけ」という勉強法に陥りがちだが、1級建築士の試験対策では、記述内容を理解したうえでの反復学習により知識を定着させることが重要になる。
学科Ⅱ(環境・設備)は年度によって難易度の上下が激しい科目ではあるが、まずは過去問をベースにした記述の正誤判断を正確に行うための学習が必要といえる。
【法 規】
学科Ⅲ(法規)は、新規問題が1割程度出題されたが、正答枝は過去問及びその類似の出題であり、比較的易しい内容であったと言えよう。
正答枝が新規の内容であった中で、No.15(用途地域)とNo.30(関係法令)は、当学院の一定割合以上の講義出席及び宿題提出者の正答率が一般の受験生と比べて差がついている。
当学院の教材では、No.15の田園住居地域における用途制限の問題は学力チェックテスト(A)3回で出題しており、No.30の宅造法の問題は公開模擬試験②で出題していた。
つまり、正答率の差はテストを実施し及び見直しをきちんと行っていたかどうかであったのではないかと推察される。
また、カリキュラムの終盤で行うマラソンテストと必勝テストで1問1答の仕上げテストを行うが、法規においてはほぼ全ての過去問を網羅している。これらをしっかりと行うことが非常に重要であった。
【構 造】
全30問に目を向けると、学科Ⅳ(構造)は、昨年、一昨年と比較して得点しやすい内容であったが、構造力学は、総じて言うならば得点しにくい内容であった。
当学院では、受験前年11月より「力学対策講義」にて、構造力学の得点力を早期に養成している。
また、年が明けてから直前期対策までに取り組む各種教材により、様々なパターンの類題を出題し、演習の機会を設けている。
その結果、とくにNo.1(断面の性質)は、当学院生以外の受験生の正答率が7割台であったのに対し、一定以上の出席、宿題提出を行った当学院生の正答率は9割を超えた。
また、鉄筋コンクリート構造(No.11~14)は、得点しにくい内容であると同時に、合格者と不合格者の得点差が大きくつく項目である。その中で、No.11(ひび割れ)のような図解問題は、過去問学習だけでは対策しにくい内容である。
当学院では、講義において、コンクリートにひび割れが入る原理を学習し、そこで得たイメージを応用して解答するよう指導している。
出題の機会やバリエーションについても前述No.1と同様に設けており、結果、当学院生以外の受験生と比較して、一定以上の出席、宿題提出を行った当学院生は正答率で大きく上回った。
【施 工】
学科Ⅴ(施工)については、今年も新規枝が出題されたが昨年よりは少なく、過去問が多い問題構成で、難易度としては、昨年よりやや易しい標準的な内容であった。
No.5(仮設工事)の正答枝の枝4は、過去に正答枝として出題されており、必ず正解しなければならない問題であったが、当学院生の正答率は9割を超えており、一般の受験生は枝3を誤選択している割合が多かった。
施工の試験は、工事の手順や細かい数値を問われる問題が多いのが特徴である。施工には様々な工事があるため、これらを覚えるのが苦手とする方が多い。
施工の学習方法としてはイメージで覚えることが効果的なため、当学院では映像や写真・イラストを多く取り入れた講義を行っており、また、本試験直前のテストや公開模擬試験で、正答枝の枝4や枝3は繰り返し取り上げていたため、正答率の差が大きくなったと考えられる。
3.新規項目
- 計画
- 「豊平館(北海道)」「臨春閣(神奈川県)」
「環境移行」「シュパイヤー大聖堂(ドイツ)」
「ウェストミンスター宮殿(イギリス)」
「ウェイファインディング・デザイン」
「気候風土適応住宅」「区域区分」
「サテライトオフィス」
「着替え台(ベビー休憩室)」
「客室浴室出入口直角路通路幅員」
「都市利便増進協定」
「OSB」「MDF」「まちづくり三法」「風致地区」
「住吉の長屋(安藤忠雄)」
「中野本町の家(伊東豊雄)」
「私たちの家(林昌二・雅子)」
「防災集団移転促進事業」「合理的配慮」
「ジェントリフィケーション」「工事価格」
「レスパイトケア」「富弘美術館(群馬県)」
「ポーラ美術館(神奈川県)」「木取り」
「豊島美術館(香川県)」
「京都市京セラ美術館(京都府)」
「豊島美術館(香川県)」「複合単価」
「プロパティマネジメント」 - 環境・設備
- 「クリモグラフ」「自然室温」「CIE標準晴天光」「暑さ指数(WBGT)」
「平均照度と避難歩行速度」
「UGR(屋内統一グレア評価値)」
「線音源の距離減衰」「開放窓の透過率・吸音率」
「OA」「SA」「RA」
「コルクタイルによる床衝撃音軽減」
「超高層ビルにおける給排気バランス」
「OA機器による内部発熱負荷」
「誘引誘導方式」「防臭密閉型マンホール」
「電源別置型の予備電源」
「非常用エレベーターの籠の定格速度」
「DR(デマンドレスポンス)」 - 法規
- 「手動式の補助散水栓」「無窓居室の告示規定」
「非常EVの乗降ロビーの構造」
「中央管理室での排煙設備の制御」
「田園住居地域内の用途制限」
「矢板等の抜取りの際の措置」
「バリアフリー法:車椅子使用者用駐車施設」
「異種用途区画免除とする措置」
「宅造法:特定盛土等規制区域」 - 構造
- 「心持ち材」「背割り」「母屋の継手」「正味断面」「横座屈変形」「鉛直ドレーン(排水工法)」
「盛土荷重」
「地盤固結」「過剰間隙水圧の消散」「切土」「斜面の安定性」
「液状化発生に対する安全率FL」
「デッキプレート版(デッキ合成スラブ)の変形増大係数」
「偏心によるねじれを小さくする方法」 - 施工
- 「2現場まで兼任(監理技術者)」
「石綿含有建材の有無についての事前調査」
「機械等設置届」「振動ローラー」
「地下外壁・床版を一体化した合成壁」「補給材」「再生砕石(RC-40)」「大壁造の床勝ち仕様」
「マスコンクリートの構造体強度補正値」
「内部振動機」「保護コンクリートの厚さ」
「差動式スポット型感知器」「熱橋部の結露防止」
「サンドブラスト加工の加工深さ」
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