2023年 1級建築士 設計製図試験合格発表

試験データ

  2023年 2022年
学科の
試験
設計製図の
試験
学科の
試験
設計製図の
試験
試験日 7月23日(日) 10月8日(日) 7月24日(日) 10月9日(日)
実受験者数 28,118人 10,238人
30,007人 10,509人
合格者数 4,562人 3,401人 6,289人 3,473人
合格率 16.2% 33.2% 21.0% 33.0%
総合 実受験者数 a 34,479人 35,052人
合格者数 b 3,401人 3,473人
合格率 b/a 9.9% 9.9%

※今年「学科試験」から受験した者と「設計製図の試験」から受験した者の合計です。

2023年 1級建築士設計製図試験の合格発表について

設計製図合格率 33.2% 
《 昨年より0.2Pアップ》
最終合格率   9.9% 
《 昨年と同じ 》

公表された合格基準等においては、ランクⅣとなった受験者が42.6%、ランクⅢとなった受験者が22.1%と昨年の試験と同様に大変厳しい結果でした。

1.受験者答案の分析から見えてくる採点基準についての考察

下記の内容は、試験直後に受験者の方々に復元していただいた答案の計画内容を項目ごとに分析し、合否結果から想定される日建学院独自の分析です。

約100名のサンプル答案の合格率は47.5%でしたので、それを下回る数値の計画には、何らかの問題や減点、もしくは計画における難しさがあったものと考えられます。

受験生が悩まれた「グリッドの計画」、「児童開架スペースの設置階」、「法令への重大な不適合」、「屋上等に設置する設備の配置計画」についての合否結果については、下記のような分析結果になりました。

グリッドの計画について
グリッド(東西×南北) 受験者の
割合
合格率 サンプル
合格率
との差
① 7m×7 16.9% 40.0% -7.5%
② 8m×7m又は7m×8m 30.5% 66.7% +19.2%
③ 7m×6m又は6m×7m 16.9% 30.0% -17.5%
④ 8m×(6・7)m又は(6・7)m×8m併用 20.3% 41.7% -5.8%
⑤ 7m×(7・8)m又は(7・8)m×8m併用 8.5% 40.0% -7.5%
⑥ その他 6.8% 50.0% +2.5%

標準解答例①:7m×(6・7)m併用、標準解答例②:8m×7m

児童開架スペースの設置階について
設置階 受験者の
割合
合格率 サンプル
合格率
との差
① 1階 33.9% 45.0% -2.5%
② 2階 62.7% 51.4% +3.9%

標準解答例①②は、1階で計画。

北側高さ制限について
法令への適合・不適合 受験者の
割合
合格率 サンプル
合格率
との差
① 違反は無い 93.0% 52.8% +5.3%
② 違反した 3.5% 0.0% -47.5%
③ 根拠等未記入または間違い 3.5% 0.0% -47.5%

北側高さ制限に抵触した受験生の合格はありませんでした。

延焼ラインの図示及び所定の防火設備の記入について
法令への適合・不適合 受験者の
割合
合格率 サンプル
合格率
との差
① 延焼ライン・防火設備が適切 90.6% 50.0% +2.5%
② 延焼ライン・防火設備が不適切 9.4% 0.0% -47.5%

延焼ラインの図示、防火設備の記入に抵触した受験生の合格はありませんでした。

屋上等に設置する設備の配置計画について(計画の要点等)
設備の配置計画 受験者の
割合
合格率 サンプル
合格率
との差
① 優 28.8% 58.8% +15.6%
② 良 54.2% 46.9% -0.6%
③ 可 16.9% 30.0% -17.5%
④ 不可 0.0%

屋上の設備の配置計画による合格率の差は、北側高さ制限等の抵触が考えられます。
斜線を避けた配置計画を図示する必要がありました。

2.試験機関から公表された「採点のポイント」と「採点結果の区分」

合格発表と同時に試験機関から公表された「採点のポイント」は次のとおりです。

  1. 空間構成

    ①建築物の配置・構造計画
    ②ゾーニング・動線計画
    ③要求室等の計画
    ④建築物の立体構成等

  2. 建築計画
    • ①多世代の交流促進及び効率的な施設管理について配慮した計画
    • ②ユニバーサルデザインや自然採光に配慮した計画
    • ③省エネルギー化の実現及びエネルギー自立度を高めた計画
  3. 構造計画

    ①閉架書庫の構造的特徴に配慮した計画
    ②地盤条件や経済性を踏まえた基礎構造の計画

  4. 設備計画

    ①一般開架スペースの空調設備計画
    ②屋上に設置する設備機器等の計画

※設計条件・要求図面等に対する重大な不適合
  • ①「要求図面のうち1面以上欠けるもの」、「面積表が完成されていないもの」又は「計画の要点等が完成されていないもの」
  • ②図面相互の重大な不整合(上下階の不整合、階段の欠落等)
  • ③次の要求室・施設等のいずれかが計画されていないもの
  • 一般開架スペース、児童開架スペース、閉架書庫、対面朗読室、自習室、ワークルーム、 企画展示スペース、セミナールーム、荷解き配本スペース、カフェ、ブックポスト、ポンプ室、消火ポンプ室、PS・EPS、EV、車椅子使用者用駐車場、駐輪場
  • ④法令の重大な不適合等、その他設計条件を著しく逸脱しているもの

●採点結果の区分(成績)…公開情報の抜粋

  • 〔受験者の答案の解答状況〕
  • ランクⅢ及びランクⅣに該当するものが多く、具体的には以下のようなものを挙げることができる。
  • 設計条件に関する基礎的な不適合:「要求室・施設等の特記事項の不適合」等
  • 法令への重大な不適合:「道路高さ制限、北側高さ制限」「延焼のおそれのある部分の位置(延焼ライン)と防火設備の設置」等

※その他、標準解答例①に記載された法令に関する内容として、下記のとおり「北側高さ制限」「道路高さ制限」「延焼のおそれのある部分」の考え方について記載されました。

  1. 【北側高さ制限】
    本課題の敷地は、第二種中高層住居専用地域であり、日影による中高層の高さ制限はないので、建築基準法第56条第1項第三号の規定により、北側高さ制限が適用される。(敷地の北側は公園であるが、建築基準法施行令第135条の4の規定による緩和は適用されない)。

    【道路高さ制限】
    本課題の敷地は、第二種中高層住居専用地域で、道路高さ制限の斜線勾配は1.25、容積率は300%である。建築基準法第56条第1項第一号、第2項、別表第3の規定により、「前面道路の反対側の境界線から計画建築物の最小後退距離に相当する距離だけ外側の線」から水平距離25m以下の範囲において道路高さ制限が適用される。なお、南側道路高さ制限は、建築基準法施行令第132条の規定により、断面図の切断位置が西側道路境界線から24m以内であるため道路幅員を12mとみなして算定した。また、当該規定が適用されない部分についても適合である旨を記した。

    【延焼のおそれのある部分】
    建築基準法第2条第六号の規定により建築物の外壁の開口部で延焼のおそれのある部分に該当する箇所について、東側隣地境界線及び南側道路中心線から延焼のおそれのある部分までの距離を記入し、延焼ラインを破線で図示した。(北側は「防火上有効な公園」のため延焼のおそれのある部分が発生しない)敷地が準防火地域に指定されているため「延焼のおそれのある部分」にある開口部を防火設備とした。

※今後の試験においては、高さ制限における緩和の基本的な内容は十分に理解して解答する必要があること、延焼のおそれのある部分についても正しく対応できる必要があることを示唆しています。

続いて、令和元年~令和5年までの「採点結果の区分(ランク分け)」を示します。

採点結果の区分グラフ

ランクⅠ:「知識及び技能」を有するもの
ランクⅡ:「知識及び技能」が不足しているもの
ランクⅢ:「知識及び技能」が著しく不足しているもの
ランクⅣ:設計条件及び要求図書等に対する重大な不適合に該当するもの

「知識及び技能」とは、一級建築士として備えるべき「建築物の設計に必要な基本的かつ総括的な知識及び技能」をいう。

不合格者の内訳として、ランクⅡが少なく、ほとんどの不合格者は、ランクⅢ・Ⅳに区分されています。この「採点基準」が試験対策の要となります。

3.学科合格者と学科免除者の設計製図試験合格率の比較

令和5年から平成29年までの「当年度の学科合格者」と「学科免除者」の設計製図試験合格率は次のとおりです。

  全国
合格率
①当年の学科合格者の
合格率
②学科免除者の合格率
(過年度学科合格者)
②-①
合格率
の差
合格者
/受験者
合格率 合格者
/受験者
合格率
R5年 33.2% 1,075名
/3,877名
27.7% 2,326名
/6,361名
36.6% 8.9%
R4年 33.0% 1,468名
/5,464名
26.9% 2,005名
/5,045名
39.7% 12.8%
R3年 35.9% 1,342名
/4,288名
31.3% 2,423名
/6,221名
39.0% 7.7%
R2年 34.4% 1,809名
/5,661名
32.0% 1,987名
/5,374名
37.0% 5.0%
R元年 35.2% 1,696名
/5,542名
30.6% 1,875名
/4,609名
40.7% 10.1%
H30年 41.4% 1,683名
/4,584名
36.7% 2,144名
/4,667名
45.9% 9.2%
H29年 37.7% 1,564名
/4,793名
32.6% 1,801名
/4,138名
43.5% 10.9%

4.令和6年 設計製図本試験対策

近年の傾向に違わず、法令等を中心に厳しい採点が行われています。
今後の試験においては、減点項目を十分に理解し、減点を最小限に抑える図面を完成させることがポイントです。

  1. 法令遵守

    建築基準法令に適合した建築物の計画〔建蔽率、容積率、高さの制限、延焼のおそれのある部分、防火区画(異種用途・面積・竪穴区画)、避難施設 等〕については、特に重要な要素です。当学院のパーフェクト本科コースで実施する課題資料「課題の読み取りとポイント」では建築関連法令に対し、課題文での読み取り方を学習します。また、「採点シート・減点チェックリスト」の活用により、自身で減点項目をチェックできるようにすることで、各法令を遵守した解答を作る力を養成し、本試験で適応できる能力を身につけることができます。

  2. 低層建築物及び基準階建築物のエスキス手順の理解

    課題テーマは、「低層建築物」と「基準階建築物」の2つに大別することができます。
    近年は、建築物の階数が公表されなくなりました。
    集合住宅、ホテル等の基準階建築物と、図書館、コミュニティセンター等の低層建築物のエスキス手順は異なります。課題が発表される前からどちらの手順についても、実習課題を通してマスターすることが必要です。
    パーフェクト本科コース「課題検証講義」では、課題発表までの期間に過去に出題された本試験課題の特徴を学び、「課題の読み取り方」「エスキスの進め方」「プランニング」「採点のポイント」等、課題実習を通じて確認しながら学習をすすめることで、課題の「読み落とし」「読み違い」を無くし適切な解答が導き出せるような訓練を進めます。

  3. 記述対策

    受験者答案分析から、「記述」も合否を左右する重要な要素となります。
    近年の試験では記述の他、イメージ図を必ず記入して解答する等、より専門的な知識を求められるようになっています。要点をまとめ、適切に記入する能力を養成することが合格への絶対条件です。
    パーフェクト本科コース「特別対策講義」では、過去の本試験の「記述」で出題された「建築計画・建築法規・建築構造・建築設備・環境負荷等」に特化して過去の出題を分析し、実践課題により理解度確認を進めることで試験対策を行います。

  4. 試験対策

    基礎構造の計画、環境負荷低減(省エネルギー化の実現、エネルギー自立度を高めた計画)、 天井等落下防止対策の取り入れ等については、今後の試験においても設計者として、常に知識を求められます。考え方を理解し、図面に反映させることがポイントです。
    パーフェクト本科コース「攻略理論講義」では、過去の本試験で出題された特徴的な出題「基礎構造(支持地盤の考え方)」、「パッシブデザイン・アクティブデザインによる環境負荷」、「天井等落下防止対策」等課題を通して実習することで、試験に必要な力を養成します。

令和6年度試験対策ガイダンスのお知らせ

合否を分けたポイントについて、「グリッド計画」「ゾーニング」「法的規制」「断面構成」「設備計画」「構造計画」等、15項目程度の分析と採点基準についての考え方の説明を行っています。
この結果を把握して令和6年の合格に向けて学習することが重要です。各校で実施します「令和6年度設計製図試験対策ガイダンス」で、詳しく説明いたしますので、是非多くの方のご参加をお待ちしております。

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