2023年 2級建築士 設計製図試験合格発表
2023年の二級建築士の設計製図試験の合格率や採点項目、
課題のポイントなど、詳細をご確認いただけます。
試験データ
2023年 | 2022年 | ||||
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学科の試験 | 設計製図の 試験 |
学科の試験 | 設計製図の 試験 |
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試験日 | 7月2日(日) | 9月10日(日) | 7月3日(日) | 9月11日(日) | |
実受験者数 | 17,805人 | 9,988人 (うち、製図から 4,523人) |
18,893人 | 10,797人 (うち、製図から 3,801人) |
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合格者数 | 6,227人 | 4,985人 | 8,088人 | 5,670人 | |
合格率 | 35.0% | 49.9% | 42.8% | 52.5% | |
最終 | 実受験者数 a | 22,328人 | 22,694人 | ||
合格者数 b | 4,985人 | 5,670人 | |||
合格率 b/a | 22.3% | 25.0% |
2023年 2級建築士設計製図課題
2023年 二級建築士試験
「設計製図の試験」の課題
全ブロック(全都道府県)専用住宅〔木造〕
[要求図書]
- 1階平面図兼配置図[縮尺1/100]
- 各階平面図[縮尺1/100]
- 床伏図兼小屋伏図[縮尺1/100]
- 立面図[縮尺1/100]
- 矩計図[縮尺1/20]
- 面積表
- 計画の要点等
- (注1)建築物の階数については、試験問題の設計条件において指定する。
- (注2)答案用紙には、1目盛が4.55ミリメートル(矩計図については10ミリメートル)の方眼が与えられている。
- (注3)建築基準法令に適合した建築物の計画(建蔽率、容積率、高さの制限 等)とする。
[注意事項]
- 試験問題を十分に読んだうえで、「設計製図の試験」に臨むようにしてください。なお、設計与条件に対して解答内容が不十分な場合には、「設計条件・要求図書に対する重大な不適合」と判断されます。
総評
2023年 合格率
受験者数は9,988人、合格者は4,985人、合格率は49.9%となり、昨年よりも2.6%低い結果となりました。
近年の傾向として、合格まであと一歩のランクⅡの割合が5.7%と低く、ランクⅢ・ランクⅣの合計が44.4%と高い割合になっています。
公益財団法人 建築技術教育普及センターから発表された「設計製図試験」の合否判定基準における採点結果の区分等の欄に、
「未完成」、「設計条件の違反(多目的室と台所の配置、階段の計画、吹抜けの計画が不適当なもの)」、「要求図書の違反(矩計図の切断位置が不適当なもの)」、「その他(駐車スペースの位置が不適当なもの)」に該当するものが多かった。
とあり、ランクⅣ(図面の未完成や失格要件)は6.5%(昨年-2.6%)と昨年よりも減少しましたが、ランクⅢ(設計条件違反)は37.9%(昨年+7.2%)と大幅に増加しました。
これは、問題文の読み取り・確認不足、要求室の特記事項の対応不足等が要因と考えられます。
近年の合否判定結果の内訳
合格率(ランクⅠ)及びランクⅡ~Ⅳの分布は、下表のとおりです。
2023年の試験において合否を分けた採点項目
採点のポイントと減点項目と思われる点を挙げてみます。
主な失格項目
- 木造2階建てでないもの
- 要求図書のうち図面が1面以上未完成
- 図面相互の重大な不整合(上下階の不整合等)
- 延べ面積が、「140m2以上、190m2以下」に適合していないもの
- 要求室等のうち、次のいずれかの室が欠落又は設置階が違っているもの
1階:玄関、居間・食事室・台所、多目的室
2階:夫婦寝室、子ども室、和室
屋外:屋外テラス - 著しく非常識な計画(階段の欠落等)
課題の特色に対する減点項目
- 多目的室全てを平家で計画している
- 多目的室に玄関とは別の屋外からの専用の出入口を計画していない
- 多目的室に隣接した位置に屋外テラスを計画していない
- 自然換気及び採光に配慮し、南側に広がる公園の良好な景観を眺望できる計画としていない
- 居間・食事室・台所に10m2以上の吹抜けを設けていない
- 多目的室の床を土間コンクリート仕上げとしていない
- 多目的室と台所が直接行き来できない
課題のポイント
今年の課題のポイントを整理すると次のようになります。
仲間や近隣住民を招いて集いや会食ができる多目的室の計画
- ★玄関とは別の屋外からの専用の出入口を計画しているか
- ★隣接した位置に屋外テラスを計画しているか
- ★床を土間コンクリート仕上げで計画しているか
- ★台所と直接行き来できる計画としているか
- ★計画の要点等①と合致しているか
自然換気及び採光に配慮し、南側に広がる公園の良好な景観を眺望できる計画
- ★自然採光及び採光に配慮した計画としているか
- ★南側に広がる公園の良好な景観を眺望できる計画としているか
- ★計画の要点等②と合致しているか
屋外テラスの計画
- ★屋外テラス(15m2以上)は多目的室に隣接させ、ガーデニング用の庭を眺めることができる計画としているか
駐車スペース(2台分)の計画
- ★多目的室への荷物の搬入に配慮された位置に計画しているか
延べ面積
- ★指定された延べ面積「140m2以上、190m2以下」で計画しているか
※指定延べ面積違反は失格
要求室等の床面積
- ★居間・食事室・台所の吹抜けの面積を10㎡以上で計画しているか
- ★多目的室の床面積を25㎡以上で計画しているか
矩計図の切断位置
- ★特記事項を正確に読み、指定された位置で作図したか
1階の多目的室及び2階の室の外壁を含み、1階又は2階の少なくともどちらかの開口部を含む部分
計画の要点等の記述
- 多目的室の配置計画及び構造計画について、工夫した点
- 自然換気・採光及び眺望について建築計画上、工夫した点
★自身のプランと記述内容が合致しているか
合格対策
2024年 設計製図試験で合格を確実にするための学習ポイント
1.現状の把握と弱点補強
ランクⅡ~Ⅳの受験生は、次年度対策を行う際に次の点に留意しなければなりません。
- ランクⅡ:見直しの徹底、作図の正確性や表現力の向上、課題の特徴を把握し、まとめ上げる柔軟性
- ランクⅢ:作図のスピードアップを図り、見直し時間を確保することで図面の不備や不整合による減点を無くすこと。採点のポイントを把握し、優先順位をつけたプランニング
- ランクⅣ:第1に、丁寧で、正確な減点されない作図力の習得
第2に、プランニング手順を身につけ、課題文の複雑多様な条件を整理する計画力の習得
第3に、設計意図を表現できる文章力の習得
最後に、時間内に作図力、計画力、文章力を最大限発揮するための、時間管理能力の習得
2.2024年の設計課題は「鉄筋コンクリート造課題」が予想されます。
鉄筋コンクリート造課題は、図面相互の整合性がポイントです。平面図の他に部分詳細図、立面図、断面図等が要求され、構造の理解と作図表現の正確な作図力が必要となります。
計画面では、「ゾーニング・動線計画」、「屋外施設との関わり」「構造計画」の他、「適宜とされる面積設定」や「計画の要点等の記述」など、計画力(提案力)も必要です。
3.課題発表までの期間に、「作図力」と「計画力(提案力)」を身につける必要があります。
課題テーマが発表される6月上旬ごろまでに一式図を3時間以内で完成できる能力「作図力」を身につけることが、合格への必須条件です。また、この時期に計画力の基礎となる「プランニングの進め方」を習得することで、課題発表後は、作図から計画に学習のウエイトを移行して、当年度課題の対応力の習得に専念できます。
4.鉄筋コンクリート造に対する知識の強化が不可欠です。
鉄筋コンクリート造の知識無くして、建物は計画できません。特に、部分詳細図の作成には、架構など構造に関する知識に加え、仕上げ材料等に関する知識も必要です。
当学院では段階的に学習を進められるよう基礎的な知識及び技能を養成する講義についても準備しています。
作図力の養成
- 平面図スピードアップ製図法(RC造)
- 部分詳細図スピードアップ製図法(RC造)
- 断面図スピードアップ製図法(RC造)
- 立面図スピードアップ製図法(RC造)
- 一式図スピードアップ製図法(RC造)
問題文の読み取り(読解)及びプランニング(計画)の過程が年々難しくなる傾向にあります。
今、必要とされるのは、「時間内に、丁寧で、正確な図面を描きあげる力」=「作図力」と「与えられた条件下で自ら考え判断し、計画をまとめ提案する力」=「計画力・文章力」です。
課題発表までに、「スピードアップ製図法」等、作図手順を繰り返し学習することで、「作図力」の向上を図るとともに、「鉄筋コンクリート造の基本的な知識」、「プランニングの進め方」等の講義を通して、構造の理解を深め、プランニングのセオリーを学び「計画力・文章力」の向上を図ります。
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