建築設備士試験とは?
建築設備士とはどんな資格?
建築設備士は、建築士法に基づく国家資格です。建築設備とは、空調、給排水、電気など、生活や建物の利用において必要な機能を満たすために建築に備え付ける設備のことを指します。
建築設備士の資格は、これらの建築設備全般に関する知識・技能を持っている証明になります。
建築設備士制度は、建築設備の複雑化、高度化に対応するために、1983年に作られました。 建築設備士は、高度で複雑な建築設備の設計・工事監理について建築士に対して助言を行うことができます。建築士は、建築設備の設計・工事監理に関して建築設備士のアドバイスを受けた場合、建築確認申請書などの書類でその旨を記載する義務があります。
受験資格
建築設備士の受験資格を得るには、実務経験が必要です。受験資格を得るために必要な実務経験の年数は、学歴、建築系資格の有無によって異なります。建築設備士の受験資格は、学歴または建築関連資格を取得の上、所定の実務経験を積むことで得られます。
まず、学歴要件を満たすには、各種学校を卒業し、建築、機械、電気またはこれらと同様と認められる類似の過程を修了している必要があります。
必要となる実務経験年数は、卒業する学校の種類により異なります。大学の場合は卒業後2年以上、短期大学、高等専門学校の場合は卒業後4年以上、高等学校の場合は卒業後6年以上の実務経験が必要です。
1級建築士、1級電気工事施工管理技士、1級管工事施工管理技士、空気調和・衛生工学会設備士、電気主任技術者(第1級、第2級、第3級)の有資格者は、2年以上の実務経験を積むと建築設備士の受験資格が得られます。
学歴、資格要件に該当せず、実務経験のみで受験資格を得る場合は、9年以上の実務経験が必要です。
試験内容
一次試験(学科試験)
建築設備士試験の一次試 験は学科試験です。 試験科目は、建築一般知識、建築法規、建築設備の3科目です。四肢択一のマークシート方式で、建築一般知識が27問、建築法規が18問、建築設備が60問の計105問です。制限時間は、建築一般知識、建築法規が2時間30分で、建築設備が3時間30分です。
二次試験
建築設備士試験の二次試験は設計製図試験です。第二次試験は、建築設備基本計画が11問、建築設備設計が5問出題され、制限時間が5時間30分です。
建築設備士の二次試験について
第二次試験の問題は、建築設備基本計画、建築設備設計製図で構成されています。ここでは、二次試験の出題内容、配点、合格基準について説明します。
建築設備基本計画
建築設備基本計画(必須問題)は11問です。一次試験の1ヶ月前くらいに発表される「テーマとなる建築(課題)」について、空調・換気設備、給排水衛生設備、電気設備の観点から出題されます。計画条件(建物概要、建築平面・断面図)が提示されるので、それを参照しながら回答します。回答方式は文章記述で、3行から5行程度の文章を記述します。
建築設備基本設計製図
建築設備基本設計製図(選択問題)は5問出題されます。5問のうち2問は、以下の3分野からいずれかを選択して回答(図面作成)します。残りの3問は、選択科目に関わらず共通の問題です。
共通問題は、空調・換気設備、給排水衛生設備、電気設備の平面図を作る問題がそれぞれ1問ずつ出題されます。たとえば、選択問題で電気設備を選択した受験者は、電気設備に関する選択問題を2問回答し、共通問題3問を回答します。
空調・換気設備
空調・換気設備は、エアコンや換気扇などの設備に関する出題です。換気量の計算や、室内を適切な温度環境にするための空調計画などの問題が出ます。
給排水衛生設備
給排水衛生設備は、キッチン、洗面所、トイレ、風呂など水を使う設備に関する出題です。選択科目では、8割くらいの受験者が給排水衛生設備を選択しています。
電気設備
電気設備分野は、建物に使う照明、電気配線などの設備に関する出題です。学生時代電気専攻ではなかった方にとって、特に難しく感じられることが多い分野です。
建築設備士の二次試験の配点、合格基準は?
建築設備士の二次試験の配点は、公表されていません。合否結果の累積から、基本設計製図と選択問題で60点、基本計画が各15点で45点くらいなのではないかと言われています。
建築設備士試験は、採点結果により、点数の高い者から評価A、B、C、Dに分けられます。このうち、評価Aのみが合格になります。 合格最低点などについて公表されているデータはありませんが、例年、評価A(合格)の割合は50%程度となっています。
建築設備士二次試験の勉強方法
建築設備士二次試験はどのような勉強をすれば良いでしょうか。建築設備士二次試験対策について、以下に説明します。
講習会に参加する
建築設備士二次試験対策には、日本設備設計事務所協会連合会(JAFMEC)が行う講習会に参加することをおすすめします。
建築設備士二次試験は、参考書や過去問集が市販されていません。JAFMECの講習会は、建築設備士二次試験学習のためのテキストや過去問が手に入る大変貴重な機会です。この講習会では事前に発表されたテーマに沿った解説集が配布されます。講習会の参加には予約が必要なため、定員に達してしまう前に早めに申し込みをしましょう。日建学院などが発表する解答で一次試験の自己採点をしたらすぐに講習会の予約をすることをおすすめします。講習会は1日で行われ、空調設備、衛生設備、電気設備の各科目3時間ずつ講義があります。
講習会のテキスト内容を復習する
建築設備士二次試験は、記述問題や設計製図問題で構成されています。講習会の講義を1日聞いただけでは、本番で正しい回答ができるレベルには達しません。講習会のテキストを読み込み、本番で設計の注意点の記述、設計製図としてアウトプットできるようにしなければいけません。建築設備の知識がある程度ある方でも、少なくとも30時間程度を目安にテキストを使って学習をしましょう。
過去問の回答例、模範解答を参照しながら勉強する
講習会のテキストの学習に加えて、過去問の分析、演習も行いましょう。設計製図は、実際に手を動かして書くことで理解が進みます。過去問の回答例を参照しながら、何度も問題を解くことが、設計製図試験の有効な対策になります。資格学校の二次試験用予想問題や過去問分析資料などを入手するのも有効な手段と言えます。
二次試験は、時間が足りなくなることがあるので、5時間30分の試験時間をどのように配分して問題を解くのか、感覚をつかんでおくことも大切です。
建築設備士試験対策に資格学校やスクールを利用するメリット
資格学校やスクールの中には、建築設備士試験対策講座を行っているところがあります。建築設備士試験対策に資格学校やスクールを利用するメリットについて以下に説明いたします。
プロの講師に質問できる
建築設備士試験は、建築設計に関する一般知識と法規、設計設備について出題されます。いずれも学習分野に触れたことがないと、かなり難しく感じる内容です。
特に設計設備については、1級建築士試験と比較しても専門的で難度の高い問題が出ると言われています。初学者の場合は背景となる知識があいまいで、学習中に疑問が頻繁に出ることも考えられます。資格学校やスクールであれば、プロの講師に質問できるため、欠けている基礎知識が理解できるので、試験問題に自信を持って回答できる実力がつきます。
ポイントを押さえた対策ができる
資格学校やスクールでは、毎年建築設備士試験の出題内容を研究して、講義やテキストを作っています。また、動画や図表を使って、受講生が理解しやすい工夫もしています。資格学校やスクールを利用すれば、建築資格試験のプロが作成した教材を使ってポイントを押さえた対策ができます。過去問集の解説なども、わかりやすく質が高いため、効率良く学習を進められます。
目的や習熟度によって講座を選択できる
建築設備士試験は、まだ建築関係の資格を持っていない方が受験する場合もあれば、建築士がスキルアップのために受験する場合もあります。それぞれにスタート地点が違う中で、JAFMECの講習会は初学者には難しすぎて、有資格者には簡単過ぎると感じるかもしれません。
資格学校は、一次試験のみの講座、二次試験のみの講座、一次試験と二次試験を合わせた講座などコースが分かれていることが多く、自分の目的や習熟度によって講座を選べます。しかし、建築設備士の講座を開講しているスクールは決して多くはありません。信頼のおける良い講座を選ぶことが重要です。
まとめ
本記事では、建築設備士二次試験の出題内容、勉強方法について解説しました。建築設備士二次試験は事前に発表されたテーマにもとづいた出題、設計製図を行う問題で構成されており、ポイントを押さえた対策が必要です。
建築設備士二次試験では、講習会の活用や過去問題の学習が大切になってきます。建築設備士二次試験内容をより深く理解し試験に臨むために、資格学校・スクールを活用するのも大変良い方法です。
日建学院の建築設備士講座は、試験のポイントがわかる動画講義、一流講師・建築資格試験のプロによる高いクオリティのテキストや二次試験対策課題で受講生を合格に導きます。建築設備士試験を受験する方は、日建学院の講座をぜひチェックしてみてください。