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建築施工管理技士取得に実務経験は必要か?
受検資格や実務経験証明書の作成について

「建築施工管理技士取得に実務経験は必要なの?」「実務経験無しで建築施工管理技士になる方法はあるの?」と疑問をお持ちの方もいるのではないでしょうか?

今回の記事では、建築施工管理技士における実務経験の内容や、受検資格について紹介します。この記事を読むことで、実務経験無しで建築施工管理技士を知ることができるので、ぜひ参考にしてみてください。

目次


令和6年度より建築施工管理技士の受検資格が変わりました!

建築施工管理技士を取得するには、実務経験が必要なのでしょうか?

令和6年度の施工管理技術検定より受検資格が変わり(新受検資格)、

  • 1級の第一次検定は受検年度末(※1)で19歳以上であれば受検可能
  • 2級の第一次検定は受検年度末(※1)で17歳以上であれば受検可能(従前から変更なし)
  • 1級および2級の第二次検定(※2)は、第一次検定合格後の一定期間の実務経験などで受検可能

となりました。

  • ※1:令和6年度の場合、令和7年3月31日時点
  • ※2:令和10年度までの間は、制度改正前の受検資格要件(旧受検資格)による第二次検定受検が可能

この変更により、第一次検定に合格すれば学歴や実務経験が無くても「1級建築施工管理技士補」または「2級建築施工管理技士補」の資格を取得できるようになりました。現在、建設関連の技術者は大変な人材不足のため、「施工管理技士補」となっていれば、就職や転職などに非常に有利になるでしょう。

ただし、「施工管理技士」の資格を取得するためには「第二次検定の合格」が必要であり、第二次検定の受検には新旧受検資格ともに実務経験が必要になります。個人の状況に合わせて求められる実務経験年数が異なるので、ご自身の実務経験を事前に確認しておきましょう。


2級第一次検定の受検資格

2級第一次検定は、新旧受検資格ともに実務経験は必要ありません。受検年度末で17歳以上であれば誰でも受検することができ、合格すれば「2級建築施工管理技士補」を取得できます。学生でも受検できるので、就職活動でアピールするために積極的に資格取得を目指しましょう。ただし、2級建築施工管理技士補を取得したとしても、実務面で建築施工管理に関する業務がすべて認められるようになる訳ではありません。活用できる場面が限定されていることを認識しておきましょう。


2級第二次検定の受検資格

2級第二次検定は第一次検定とは異なり、誰でも受検できる訳ではありません。新旧受検資格ともに実務経験が必要です。新旧受検資格によって必要な実務経験内容が異なりますので、以下で詳しく見ていきましょう。


旧受検資格(2級建築施工第二次検定)

旧受検資格の場合は、学歴によって必要な実務経験年数が異なります。主な要件は以下の通りです。

学歴 必要な実務経験
大学(指定学科) 卒業後、実務経験1年以上
大学(指定学科以外) 卒業後、実務経験1年6カ月以上
短大・高専(指定学科) 卒業後、実務経験2年以上
短大・高専(指定学科以外) 卒業後、実務経験3年以上
高校(指定学科) 卒業後、実務経験3年以上
高校(指定学科以外) 卒業後、実務経験4年6カ月以上
上記以外 実務経験8年以上

新受検資格(2級建築施工第二次検定)

新受検資格の場合は、下記の通り2級の第一次検定合格後または1級の第一次検定合格後の実務経験年数が必要です。

必要な実務経験
  • 2級第一次検定合格後、実務経験3年以上(建設機械種目については2年以上)
  • 1級第一次検定合格後、実務経験1年以上

旧受検資格では学歴別に実務経験年数が決められていましたが、新受検資格では学歴別が無くなり、第一次検定合格後の実務経験年数に統一されました。そのため、新受検資格で2級の第二次検定を受検する場合、1級の第一次検定を合格すれば1年以上の実務経験のみで受検可能となります。

※令和10年度までの間は、経過措置として旧受検資格による第二次検定受検も可能となります。


1級第一次検定の受検資格

1級第一次検定は、令和6年度から新受検資格が新設されたことにより、受検年度末で19歳以上であれば誰でも受検可能となりました。旧受検資格では、学歴ごと定められた実務経験が最低でも3年以上必要だったので、大きく変化した形となります。1級の第一次検定に合格すれば誰でも「1級建築施工管理技士補」を取得でき、現場で監理技術者の補助作業ができるようになるので、積極的に第一次検定の合格を目指しましょう。

また、令和10年度までは経過措置期間として旧受検資格での第二次検定受検も可能となるため、既に必要な実務経験を保有している(または令和10年度までに保有する)方は、以下の受検例のようにまずは新受検資格で第一次検定を受検・合格し、その後、旧受検資格で第二次検定に進むことをオススメいたします。


●受検例

1年目:「新受検資格」で第一次検定を受検・合格
2年目:「旧受検資格」で第二次検定を受検申込

ただし、新規で「第一次・第二次検定の同時申込み」をする場合は、第二次検定の受検資格要件である「実務経験年数」が求められるため、旧受検資格での受検申込が必要となります。

旧受検資格で第一次検定を受検する場合に必要な実務経験年数は、試験元である以下のサイトをご確認ください。
一般財団法人建設業振興基金


1級第二次検定の受検資格

1級第二次検定は、新旧受検資格によって受検資格が異なります。以下で詳しく見ていきましょう。


旧受検資格(1級建築施工第二次検定)

旧受検資格の場合は、学歴によって必要な実務経験年数が異なります。主な要件は以下の通りです。

学歴 必要な実務経験
大学(指定学科) 卒業後、実務経験3年以上
大学(指定学科以外) 卒業後、実務経験4年6カ月以上
短大・高専(指定学科) 卒業後、実務経験5年以上
短大・高専(指定学科以外) 卒業後、実務経験7年6カ月以上
高校(指定学科) 卒業後、実務経験10年以上
高校(指定学科以外) 卒業後、実務経験11年6カ月以上
2級合格者 2級合格後、実務経験5年以上
上記以外 実務経験15年以上

新受検資格(1級建築施工第二次検定)

新受検資格の場合は、下記の通り1級の第一次検定合格後または2級の第二次検定合格後の実務経験年数が必要です。

必要な実務経験
●1級第一次検定合格後
  • ・実務経験5年以上
  • ・特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上
  • ・監理技術者補佐としての実務経験1年以上
●2級第二次検定合格後
  • ・実務経験5年以上(1級第一次検定合格者に限る)
  • ・特定実務経験1年以上を含む実務経験3年以上(1級第一次検定合格者に限る)

2級と同様に、旧受検資格では学歴別に実務経験年数が決められていましたが、新受検資格では学歴別が無くなり、1級第一次検定合格後または2級第二次検定合格後の実務経験年数に統一されました。

※令和10年度までの間は、経過措置として旧受検資格による第二次検定受検も可能となります。

最短で建築施工管理技士を取得する方法とは?

令和6年度の施工管理技術検定より新受検資格での受検が可能となりました。旧受検資格と比べると新受検資格は分かりやすい内容ですが、それでも実務経験などで複雑な部分があります。ここでは、新受検資格における「最短で建築施工管理技士を取得する」方法をまとめました。


2級建築施工管理技士:2級一次→2級二次 or 1級一次→2級二次のルート

新受検資格において最短で2級建築施工技士を取得するためには、以下の2つの方法があります。

  • 2級第一次検定に合格 → 実務経験3年 → 2級第二次検定に合格
  • 1級第一次検定に合格 → 実務経験1年 → 2級第二次検定に合格

下図は2級建築施工技士を最も若い年齢で取得することをイメージした図です。

図)2級建築施工技士を最も若い年齢で取得


1級建築施工管理技士:1級一次→実務経験のルート

新受検資格において最短で1級建築施工技士を取得するためには、2級と比べると実務経験の部分でハードルが上がります。具体的には以下の3つの方法があります。

  • ①1級第一次検定に合格 → 実務経験5年 → 1級第二次検定に合格
  • ②1級第一次検定に合格 → 特定実務経験1年以上を含む実務経験3年 → 1級第二次検定に合格
  • ③1級第一次検定に合格 → 監理技術者補佐としての実務経験1年 → 1級第二次検定に合格

下図は1級建築施工技士を最も若い年齢で取得することをイメージした図です。

図)1級建築施工技士を最も若い年齢で取得

なお、②特定実務経験、③監理技術者補佐は、以下のように定義されています。


特定実務経験とは

請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の建設工事において、監理技術者・主任技術者の指導の下、または自ら監理技術者・主任技術者として行った経験。


監理技術者補佐とは

監理技術者に代わって専任で配置する技術者。監理技術者の指導の下、補佐として施工計画の作成、工程管理、品質管理、技術指導の業務を担う。

上記の通り、特定実務経験や監理技術者補佐は非常に大きな責任を伴うので、実際には1級第一次検定合格(1級技士補)だけで、②特定実務経験や③監理技術者補佐による、第二次検定の受検に必要な実務経験を積めることは、ほとんどの企業(現場)で無いでしょう。


1級建築施工管理技士:1級一次→2級二次→実務経験のルート

では、実際に1級建築施工管理技士を最短で取得するには、1級第一次検定合格後に実務経験5年以上が必要なのでしょうか。

実は実務経験年数を短縮し、最短で1級建築施工管理技士を取得するオススメの方法があります。具体的には以下の方法です。

1年目:1級第一次検定に合格し「1級技士補」となる。
2年目:2級第二次検定に合格し「2級施工管理技士(主任技術者)」となる。
3年目以降:1級技士補+主任技術者の「監理技術者補佐」として所定の実務経験を積む。

監理技術者補佐となることで、企業(現場)での責任を任せられる実務経験年数を積む機会が増加し、同時に実務経験年数の短縮化が期待できます。

下図は上記のオススメ方法を最も若い年齢で取得することをイメージした図です。

図)実務経験年数を短縮し、最短で1級建築施工管理技士を取得するオススメの方法

ここでは、新受検資格において最短で施工管理技士を取得する方法について確認してきましたが、令和6年度から令和10年度までの間は移行措置期間として、第二次検定に関しては新旧どちらの受検資格でも受検が可能となっています。この移行措置は1級・2級両方の第二次検定に適用されていますので、新旧両方の制度をうまく利用して受検するようにしましょう。

実務経験無しで建築施工管理技士を目指す方法とは?

実務経験が無い方が建築施工管理技士を目指すためには、どうすればいいのでしょうか? ここでは、実務経験無しで建築施工管理技士を目指す方法を紹介します。


第一次検定に合格し技士補となる

1級の第一次検定は19歳以上(受検年度末時点)、2級の第一次検定は17歳以上(受検年度末時点)であれば誰でも受検できるようになったため、まずは第一次検定に合格し「技士補」の資格を取得しましょう。特に1級の建築施工管理技士補を取得した場合は、現場で監理技術者の補助作業ができるようになります。第一次検定に合格し技士補となることで、第二次検定の受検資格である実務経験を積みやすくなります。まずは積極的に第一次検定の合格を目指しましょう。


未経験可の募集を探す

建設業界では未経験でも応募可能な求人が多数見受けられます。まずは未経験可な会社で勤務し、実務経験を積んで建築施工管理技士の資格取得を目指しましょう。
なお、建築施工管理技士の受検資格として認められている業務には制限があります。担当している業務が受検資格として認められているかどうか、確認してから応募することが大切です。また、建築施工管理技士で実務経験を証明するには、企業の代表による協力が必要になります。このため、資格取得をフォローしてくれるような企業を探すとよいでしょう。

実務経験証明書が無いと受験できない?

建築施工管理技士の技術検定に申込する際は、実務経験証明書を提出する必要があるのでしょうか?

新旧受検資格ともに、初めて第二次検定の受検申込する場合は、実務経験証明書を用意する必要があります。実務経験の証明が必要であるのにもかかわらず、実務経験証明書を無記載で提出してしまうと、受検申請が無効になってしまうので注意が必要です。なお、工事着工前の設計者としての基本設計、実施設計のみの業務や設計、積算、保守、点検、維持、メンテナンス、事務、営業などの業務は実務経験として認められません。

どのような業務が実務経験として認められるか、以下の資料で確認することをおすすめします。
参考:一般財団法人 建設業振興基金
「建築施工管理に関する実務経験として
認められない工事・業務等」より


受検資格を満たす実務経験と年数は?

まず、実務経験のカテゴリーによって、受検種別が変わることを覚えておきましょう。工事種別・工事内容と受検種別が一致しない場合は受検することが許可されません。

例えば、受検種別が「建築」の場合、工事種別は「建築一式工事」、工事内容は「事務所ビル建築工事」や「共同住宅建築工事」、「一般住宅建築工事」、「建築物解体工事」などが該当します。また、受検資格として設定されている実務経験の年数に関しては、最終学歴や受検種別、現時点で所有している資格などによって変わるので、受検の案内などで確認するようにしてください。


実務経験証明書の書き方

実務経験は具体的にどのように書けばいいのでしょうか?

新旧受検資格ともに、基本的には実務経験証明書の証明欄、実務経験、実務経験証明にあたってのチェックリストを記入していきます。実務経験証明書の証明欄に関しては、記載内容が事実であるか勤務先の代表者に証明してもらうための欄です。証明する方の役職名や氏名なども記入する必要があることを覚えておきましょう。

建築施工管理技士を目指そう!

今回の記事では、建築施工管理技士を目指している方に向けて、建築施工管理技士における実務経験の必要性や、新旧受検資格について紹介しました。
令和6年度以降の建築施工管理技士の試験では、新旧の受検資格によって、資格取得までの実務経験年数が異なります。
また、第二次検定に関しては令和10年度までの移行措置期間も設定されています。
このため、ご自身がどの方法で資格取得を目指すかを事前に確認することが大切です。当サイトは、建築施工管理技士をはじめとした資格取得に役立つ情報を発信しています。興味のある方は他の記事もぜひ参考にしてみてください。

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