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1級建築施工管理技士補とは?
業務内容やメリット、試験について解説します!

2021年4月に新資格「1級建築施工管理技士補」が新設されました。
「施工管理技士補ってどんな資格?」
「1級建築施工管理技士とどう違うの?」
1級建築施工管理技士補は、新設されたばかりの資格であり、施工管理の仕事を目指している人には気になるところです。1級建築施工管理技士補とは、新設された理由、資格取得のメリット、建設業界にもたらす影響について紹介いたします。


目次


施工管理技士 試験制度 改訂まとめ
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受検資格の見直し!
令和6年度より19歳以上で、
誰でも第一次検定受検が可能!
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1級建築施工管理技士補とは?

新設された「1級建築施工管理技士補」とはどのような資格なのでしょうか。


【新資格】1級建築施工管理技士補

建設業法改正により2021年4月に施工管理技術検定制度が改訂され、「1級建築施工管理技士補」の資格が新設されました。改正前までは1級建築施工管理技士になるには「学科試験」「実地試験」両方に合格する必要がありました。新制度では学科試験は「第一次検定」に、実地試験は「第二次検定」に名称変更されました。その結果、第一次検定に合格することで、1級建築施工管理技士補の資格取得が可能になったのです。これまでは1級建築施工管理技士資格保持者のみが務めていた監理技術者は、各工事現場に配置しなくてはならず、工事現場を兼務できませんでした。しかし、1級建築施工管理技士補を監理技術者の補佐として配置することで、監理技術者が工事現場を兼務できるようになったのです。監理技術者不足が問題となっている昨今では、1級建築施工管理技士補は技術者不足を補えるでしょう。


技術検定制度の変更された背景

制度改正前は、1級建築施工管理技士になるためには「学科試験」「実地試験」両方に合格しなくてはなりませんでした。その上、学科試験に合格しても実地試験に不合格になってしまうと学科試験の免除は2年間のみであり、翌々年を過ぎると学科試験を再受検する必要がありました。制度改正後は第一次検定に合格すると1級建築施工管理技士補の資格が取得できます。このため、第二次検定を受ける際には、第一次検定の再試験は不要になり、1級建築施工管理技士になるためには、第二次検定の合格のみになりました。


監理技術者不足の改善が期待されている

1級建築施工管理技士補の新設で監理技術者不足の改善が期待されています。制度改正前は総額4,500万円以上の工事を受注した場合、各工事現場で監理技術者1人の配置が義務付けられていたため、監理技術者の担い手は常に人手不足状態でした。また、ベテランの監理技術者の高齢化による引退によって、建設業界では恒常的に監理技術者不足が問題となっていたのです。これらの問題解決のために、1級建築施工管理技士補を配置することで監理技術者は2つの現場を兼任できるようになりました。


2級建築施工管理技士補の業務内容

2級建築施工管理技士補は資格を得ても実務上で有利になる訳ではありません。1級建築施工管理技士補とは違って、補佐として活動できないためです。
このため、2級建築施工管理技士補の取得前後で業務が大きく変わることはありません。しかし、就職、転職活動時にアピールすることができるので、建築業界を目指している人は取得を目指しても良いでしょう。


1級建築施工管理技士補の業務内容

1級建築施工管理技士補になると監理技術者の仕事を補佐できます。施工計画の作成・工程管理・品質管理・下請負業者への指導監督など、監理技術者のサポートが可能です。しかし、業務にあたっては、1級建築施工管理技士から指示を受けながら仕事をする必要があります。



1級・2級建築施工管理技士補が新設された理由

1級・2級建築施工管理技士補が新設された理由とは何なのでしょうか?ここから新設された理由について見ていきます。


施工管理技士の不足

建設業界では監理技術者不足が深刻です。監理技術者の高齢化に伴い、今後もますます監理技術者不足に拍車がかかると想定されています。また、少子化により若手の監理技術者の数も少ない状態です。日本は地震大国であるため、インフラの復旧・整備も重要になります。さらに、受注競争の激化によりダンピングが横行し、しわ寄せは全て下請け企業に行き、労働環境の悪化を招いていました。こうした背景から1級建築施工管理技士補が新設されたのです。


建設業許可業者の増加

1級・2級建築施工管理技士補が新設された理由として、建設業許可業者が増えていることが挙げられるでしょう。国土交通省のホームページによると、全国の建設業許可業者数が3年連続で増加していることが明らかになりました。

参考:国土交通省
「新・担い手3法」より

建設業許可業者が増えているということは、建築施工管理技士へのニーズも高まっているということです。そのため、建築施工管理技士の資格取得を促進する目的で、建築施工管理技士補が新設されたと考えられます。


新・担い手3法の影響

2019年に建設業界の人手不足の解消のため、3つの法律が「新・担い手3法」として改正され、1級施工管理技士補が誕生しました。「新・担い手3法」は「労働者の高齢化と人材不足」「給与賃金体系の見直し」「社会保険の加入促進」「長時間労働の是正」を解消することを目的としているのです。法改正の最終的な目標は、建設業界を働きやすい環境に整え若手の確保と育成にあります。
「新・担い手3法」の3つの法律とは以下の通りです。

  • ・公共工事の品質確保の促進に関する法律(品確法)
  • ・建設業法
  • ・公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律(入契法)

それぞれの法律について見ていきましょう。


品確法

「品確法」に盛り込まれている内容は下記の通りです。

  • ・災害時の緊急対応
  • ・働き方改革への対応
  • ・生産性向上への取り組み
  • ・品質確保
  • ・工事に必要な情報の適切な把握・活用
  • ・公共工事の目的物の維持管理


建設業法

「建設業法」に盛り込まれている内容は下記の通りです。

  • ・技術者に関する規制の合理化
    監理技術者:技士補を配置したら兼任できる 主任技術者:一定の要件を満たす場合配置しなくても良い
  • ・災害時は建設業者と地方公共団体の連携が必要
  • ・社会保険の加入を要件化
  • ・持続可能な事業環境を確保


入契法

  • ・中央建設審議会が工期に関する基準を作成・勧告
  • ・著しく短い工期の請負契約の締結禁止
  • ・必要な工期の確保と施工時期の平準化

参考:国土交通省
「新・担い手3法」より


監理技術者の配置義務の緩和

制度改正前は監理技術者を専任で配置する必要があり、他の現場との兼任は不可能でした。1級建築施工管理技士補が誕生したことにより、補佐として配置することで監理技術者は複数の現場を兼任可能になったのです。1級建築施工管理技士補の配置で監理技術者不足解消になることが期待されています。

施工管理技士 試験制度 改訂まとめ

建築施工管理技士補の試験概要

ここでは、建築施工管理技士補の試験概要を紹介します。


受検資格

1級・2級建築施工管理技士補の受検資格は、以下の通りです。

1級建築施工管理 第一次検定
  • 満19歳以上
2級建築施工管理 第一次検定
  • 満17歳以上

1級・2級建築施工管理技士補(第一次検定)の場合、実務経験に関わらず受検することが可能です。


検定科目(試験科目)

以下で、1級建築施工管理技士補の検定科目(試験科目)を確認していきましょう。

検定
科目
検定
基準
知識/
能力
解答
方式
建築
学等
建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な建築学、土木工学、電気工学、電気通信工学、機械工学、設計図書に関する知識 知識 四肢
択一
施工
管理法
監理技術者補佐として、建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な施工計画の作成方法、工程管理、品質管理、安全管理等工事の施工の管理方法に関する知識 知識 四肢
択一
施工
管理法
監理技術者補佐として、建築一式工事の施工の管理を適確に行うために必要な応用能力 能力 五肢
択一
法規 建設工事の施工の管理を適確に行うために必要な法令に関する一般的な知識 知識 四肢
択一

合格率

技士補が新設された直近3年間の1級建築施工管理技士補(第一次検定)の合格率についても確認しておきましょう。

年度 合格率
2023年度(令和5年度) 41.6%
2022年度(令和4年度) 46.8%
2021年度(令和3年度) 36.0%

1級建築施工管理技士補(第一次検定)の合格率は、平均すると40%前後です。難易度の高い試験なのでしっかりと対策をする必要があります。

1級建築施工管理技士補を取得するメリット

1級建築施工管理技士補を取得するとどのようなメリットがあるのでしょうか?ここから見ていきます。


スキルアップできる

1級建築施工管理技士補は監理技術者を補佐する仕事です。このため、大規模な工事に携わることのできるチャンスが生まれます。ハードルの高い工事を担えると技術者としての知識や技術が身に付きスキルアップにつながるでしょう。また、第一次検定に通ると技士補の資格を取得できるため、モチベーションアップにもつながります。


企業に必要とされやすい

1級建築施工管理技士補の資格を取得すると、転職の場合も有利になります。少子高齢化により監理技術者の「なり手」が不足し、業務負担が増加することが問題でした。しかし法改正で技士補が導入されたことにより監理技術者の負担を減らすことが可能となりました。これまでは第一次検定と第二次検定の両方に合格しないと1級建築施工管理技士になることはできませんでした。第一次検定に合格することで技士補になれるため、若手にも活躍のチャンスが増えるでしょう。


国家資格のため名刺に書くことができる

建築施工管理技士補は国家資格に分類されます。そのため、名刺に記載することが可能です。
ただ、新しい資格なので認知度はまだ高くありません。しかし、国家資格を所有していることをアピールできますし、ある程度の専門知識を有していることの証明にもなります。

技士補が建設業界にもたらす良い影響

技士補が導入されることで建設業界にはどのような影響をもたらすのでしょうか?ここから、期待される影響について詳しく見ていきましょう。


若手が活躍できる

2級建築施工管理技士補は工業高校の高校生でも資格取得がしやすくなりました。人手が不足している建設業界において、若者が早期から資格取得でき就職しやすい環境を整えているのです。技士補という資格は、若手の活躍の場を広げ、若者の建築業界離れを止めることができると想定されています。


経営事項審査の評価が有利になる

1級建築施工管理技士補資格保持者が会社にいると経営事項審査の評点が加点されます。審査で加点対象にするには「第一次検定の合格証などの写し」「常勤性の確認書類(標準報酬決定通知書写しや保険証など)」が必要です。また、加点対象には1級建築施工管理技士補資格保持者と6ヵ月以上の雇用関係であることが求められます。

参考:国土交通省
「経営事項審査の審査基準の改正について」より


下請け企業が工事の受注がしやすくなる

「新・担い手3法」により下請け企業が工事の受注がしやすくなりました。一次下請けの会社が主任技術者を配置すると、二次下請け企業が主任技術者を配置しなくても良くなったのです。一定の条件を満たすことで二次下請け企業も工事現場に参加できます。

2022年度 1級建築施工管理技士 第一次検定合格実績 当学院受講生1,396名[合格実績詳細]

まとめ

2021年4月に新資格「1級建築施工管理技士補」が誕生しました。1級建築施工管理技士補が新設された背景は、監理技術者の人手不足です。昨今では、災害によるインフラの復旧・整備など監理技術者の需要が高まっています。このため「新・担い手3法」により1級建築施工管理技士補が新設され、監理技術者の配置が緩和されました。

これまでは工事現場には監理技術者を「専任で配置」することが必要でしたが、監理技術者の補佐である1級建築施工管理技士補導入で、監理技術者は2つの現場を兼任できるようになったのです。1級建築施工管理技士補を取得すると若手でも大規模工事に関われるため、キャリアアップにつながるでしょう。資格取得の学習方法に不安を感じている方は、模擬試験や学習サポートなどを行っている日建学院の各種対策講座をぜひチェックしてみてください。


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