1級建築施工管理技士 第二次検定の
合格率・難易度は?
1級建築施工管理技士の二次試験は、2021年度(令和3年度)に技術検定制度が変更され「第二次検定」に変更されました。ここでは、制度変更された以降の直近3年間の第二次検定結果を見ていきましょう。
第二次検定の受検者数・合格率
直近3年間の1級建築施工管理技士第二次検定結果は、以下の通りです。
年度 | 受検者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2023年度 (令和5年度) |
14,391人 | 6,544人 | 45.5% |
2022年度 (令和4年度) |
13,010人 | 5,878人 | 45.2% |
2021年度 (令和3年度) |
12,813人 | 6,708人 | 52.4% |
ここ3年間では、合格率は50%前後の推移ですが、受検者数は増加傾向にあります。2021年度(令和3年度)の制度変更により、1級建築施工管理技士第一次検定合格の有効期限は無期限(1級建築施工管理技士補の新設)に変更されたため、今後も第二次検定の受検者数は増加傾向が続くと想定されています。
第二次検定の合格者属性(年齢別)
それでは、第二次検定合格者の属性はどのようになっているのでしょうか。以下は直近3年間における40歳以下の合格者の割合です。
年度 | 29歳 以下 |
30~ 34歳 |
35~ 39歳 |
合計 |
---|---|---|---|---|
2023年度 (令和5年度) |
28.6% | 17.5% | 13.1% | 59.2% |
2022年度 (令和4年度) |
28.6% | 16.5% | 13.6% | 58.5% |
2021年度 (令和3年度) |
25.7% | 16.3% | 13.6% | 55.8% |
上記の通り、合格者の半数以上が40歳以下であることがわかります。年齢が上がると仕事での責任が増加し、受検対策の学習時間が取りづらくなることが多くなるため、まだ業務負担が比較的軽い若いうちからの受検対策をオススメいたします。
1級建築施工管理技士 第二次検定の
出題内容は?
第二次検定の解答方法は「記述式」と「五肢一択式」となっています。施工管理に関する知識および的確な表現力を試すものであり、誤字・脱字の無い正しい専門用語を用い、できるだけ具体的に、設問内容から脱落しないように簡潔に記述する能力が求められます。
第二次検定の出題分類
第二次検定の問題は、下記のように合計6問出題されており全問必須問題となります。
特に「施工経験記述」は受検者の建築施工管理経験の有無を判断するものであり、第二次検定において重要な問題です。合格の目安としては、この「施工経験記述」がある程度記述できていることが前提と言えます。また、記述式問題は第一次検定で学習した知識が、実際の現場で活用・応用でき「施工管理ができるか」を判断する出題となっています。
出題分類 | 出題数 |
---|---|
施工経験記述 | 1問 |
仮設工事・災害防止関係 | 1問 |
施工管理関係 | 1問 |
仕上工事関係 | 1問 |
躯体工事関係 | 1問 |
法規関係 | 1問 |
合計 | 6問 |
以下は第二次検定において最も注力すべき「施工経験記述」の過去5年間の出題項目です。
年度 | 施工経験記述出題項目 |
---|---|
2023年度 (R5年) |
あなたが現場で重点的に品質管理を行った事例を3つあげ、次の①から③を具体的に記述
|
2022年度 (R4年) |
あなたが実施した現場作業の軽減の事例を3つあげ、次の①から③について、具体的に記述
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2021年度 (R3年) |
あなたが現場で重点をおいて実施した品質管理の事例を2つあげ、次の①から④について具体的に記述
|
2020年度 (R2年) |
あなたが実施した現場における労務工数の軽減、工程の短縮などの施工の合理化の事例を2つあげ、次の①から④について記述
|
2019年度 (R元年) |
あなたが重点的に品質管理を実施した事例を2つあげ、次の①から③を具体的に記述
|
上記の通り、第二次検定の問題は、「第一次検定で学習した知識を文章にする」というもう一つの能力が必要となります。記述練習をしていないと本試験では「ほとんど書けずに終わってしまう」ことになるので、しっかりとした対策をする必要があります。
1級建築施工管理技士の第二次検定対策
1級建築施工管理技士の第二次検定対策はどのようにすればいいのでしょうか?合格するには出題傾向を把握し対策を立てる必要があります。ここから具体的に見ていきましょう。
施工経験記述
施工経験記述は「工程管理」「品質管理」「建設による副産物への対策」からの出題が多いです。そのため、自身が経験した工事・留意点などをまとめておく必要があります。
問題の構成は「工事概要」「工事概要に基づく経験記述」「自身の経験した工事内容の記述」に分かれています。工事概要については、指導的実務経験、建築工事区分、工事規模、建築した建物の正式名称と住所を正確に記述しましょう。自分の経験に合った事例からテンプレートを作っておくと良いでしょう。上司や受検経験者に文章を見てもらうのもオススメです。また、日建学院で記述文章の添削を受けてみるのも対策の近道でしょう。独学のみでは独りよがりになる可能性があります。施工経験記述の文章校正などが上手くできない場合、合格できる可能性は低くなってしまいます。
仮設・安全
「仮設・安全」に関しては過去問をベースに記述できるまで繰り返しトレーニングすることが重要です。共通項目を暗記し、違いを理解しながら、第一次検定の「仮設・安全管理に関する内容」を文章で記述できるまで解きましょう。普段から業務で工事計画や安全管理をしている人には、それほど難しい勉強ではありません。しかし、業務に携わっていない場合、難しく感じる場合もあります。「仮設・安全」の記述は「〜に留意する」のように現在形で書くのがポイントとなります。
施工管理
「施工管理」は「バーチャート工程」や「ネットワーク工程」の問題が出題されます。「バーチャート」は縦軸に作業名を、横軸に所要日数を記述したものです。ここ最近はネット工程から主に出題されています。第一次検定で出題された「フリーフロート」「クリティカルパス」などの用語をしっかり理解しておきましょう。
躯体施工
「躯体施工」は「土木」「鉄筋」「コンクリート」「鉄骨」に関する問題です。問題は1年ごとに出題方式が異なるため、出題傾向を把握する必要があります。躯体工事に携わっている人やゼネコンで施工管理を担当している人にはそれほど難しい問題ではありません。しかし業務に携わっていない人は、記述式・語句選択も過去問10年分は実施する必要があるでしょう。第一次検定の「鉄筋」「コンクリート」は第二次検定に応用できる問題があるため、何度も復習することをオススメいたします。
仕上げ施工
「仕上げ施工」は「防水」「石」「タイル」「屋根」「建具」「内装」「左官」などに関する問題です。仕上げ施工は躯体工事専門の人にとって、工法や種類が多岐に渡るため、難しく感じるケースが多いです。過去問を10年分くらいを解きつつ、第一次検定の復習も並行すると良いでしょう。
法規
「法規」は「建設業法」「建築基準法」「労働安全衛生法」から出題されます。穴埋め問題は、過去問からの出題であっても、穴埋めの場所が異なる箇所があるため、法律の条文をしっかりと暗記することが重要です。ニュアンスが違っていたり、送り仮名が間違っていたりすると減点されてしまいます。
1級建築施工管理技士の第二次検定に
合格するためには?
1級建築施工管理技士の第二次検定に合格するためには、どのような点に注意すれば良いのでしょうか?ここから具体的に見ていきましょう。
実務経験
2024年度(令和6年度)の施工管理技術検定より、第二次検定は第一次検定合格後の実務経験が必要になりました。第二次検定の受検に必要な実務経験は以下の通りです。
第二次検定 受検資格 |
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- ※1.「第一次検定合格」については、令和3年度以降の第一次検定合格が対象、また「2級第二次検定合格」については、令和2年度以前の2級技術検定合格も対象。
- ※2. 請負金額4,500万円(建築一式工事は7,000万円)以上の建設工事において、監理技術者・主任技術者 (当該業種の監理技術者資格者証を有する者に限る)の指導の下、または自ら監理技術者・主任技術者として行った経験 (発注者側技術者の経験、建設業法の技術者配置に関する規定の適用を受けない工事の経験等は特定実務経験には該当しない)
ただし、経過措置として令和10年までに有効な第二次検定受検票の交付を受けた場合、令和11年度以降も引き続き今までの実務経験でも第二次検定の受検が可能となる「併用期間」となります。しかし、この経過措置期間後、つまり令和11年以降は第一次検定合格後に実務経験(原則として5年以上)を積まないと、第二次検定を受検できなくなります。
第二次検定の受検資格である実務経験が現在ある方や、令和10年度までに発生する方は、令和10年度までに第二次検定を受検しておかないと、第二次検定の受検資格である実務経験がリセットされてしまい、第一次検定合格後に再度実務経験を積まないと第二次検定が受検できなくなります。
令和6年度から令和10年度までの間は移行措置期間として、第二次検定に関しては新旧どちらの受検資格でも受検が可能となっていますので、新旧両方の制度をうまく利用して受検するようにしましょう。
関連記事:建築施工管理技士の新旧受検資格について 詳しくまとめた記事はこちら。 |
勉強時間を確保する
1級建築施工管理技士の第二次検定に合格するには、最低でも1日1時間以上の学習が必要だと言われています。出題される範囲が広いため、知識を定着させる学習スケジュールを立てることが重要になるでしょう。
経験記述対策をする
第二次検定では経験記述対策が重要になります。配点も高く、現場経験や技術力が判定されます。学習の難易度が高く、記述した文章チェックも必要なため、資格スクール・通信講座などを検討する人が多いのが実情です。主要な資格スクールだと、ご自身の経験記述例を提出し、添削などのトレーニングを受講することができます。経験記述で失敗すると不合格になる可能性が高いため、経験記述のみスクールなどを利用するのもオススメです。
過去問を解く
合格するためには過去問を繰り返し解きましょう。過去問は過去10年分の問題を解くのがオススメです。
模擬試験を受ける
1級建築施工管理技士に合格するには模擬試験の受検がオススメです。ご自身で問題演習した際に正解できたとしても、実際の試験では解答できないこともあります。本試験慣れの意味合いからも、最終チェックの場として模擬試験に挑戦するのが良いでしょう。
経験記述は添削を受ける
経験記述は独学ではなく添削サービスを利用することをオススメします。経験記述は独学だと独りよがりになり、合格できない文章で記述している可能性があります。経験記述の文章を作る場合、例文集からアレンジすると採点官に見抜かれてしまいます。現場経験が少ない人でも合格できるような記述方法を教えてもらいましょう。
苦手分野を克服する
1級建築施工管理技士の第二次検定では苦手分野を克服することがカギになります。特に業界経験が無い、または浅い場合、実業務が分からないため問題が難しいと感じることがあります。得意分野より時間をかけて反復学習することで、苦手分野を克服するようにしましょう。
動画を視聴する
1級建築施工管理技士の第二次検定に合格するには、施工管理や法規についての幅広い知識と実務経験が必要です。テキストだけでも勉強できますが、効率的に勉強するには動画教材が良いでしょう。実際の施工現場動画に合わせた講師の説明などで、理解が深まり暗記もしやすくなります。
まとめ
1級建築施工管理技士の二次試験は「第二次検定」の名称に変更されました。第二次検定の合格基準は得点60%以上となりますが、第二次検定で最も注力すべき科目は経験記述です。経験記述は文章作成が必要となるため、独学では独りよがりになりがちです。資格スクールなどの第三者に、経験記述文章の添削やチェックをしてもらうことが有効な受検対策となります。経験記述部分は配点も高いため、ここをシッカリと対策しないと不合格になる可能性も高まります。また、その他の科目については、過去10年分の問題を繰り返し解きましょう。実業務に携わっている場合は学習が比較的容易だと思いますが、実業務に携わっていない場合などは、資格スクールの対策講座を利用することが1番効率的な対策となるでしょう。
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